1992年にスーパーファミコンで発売された、シリーズのなかでも大人気作の『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』。次作の『ドラクエVI 幻の大地』が1995年に発売されるまでに、約3年間もの期間が擁されていた。
当時のエニックス(現:スクウェア・エニックス)では『ドラクエ』ばかりではなく、ほかにも面白いゲームがたくさん発売されていた。そこで、30年前の1994年、『ドラクエV』と『ドラクエVI』の合間に作られた、エニックスによるスーパーファミコンの面白いゲームを振り返ってみよう。
■成長しない主人公と謎解きが不憫? 気持ち悪い敵キャラも今となっては懐かしい『ブレインロード』
まずは、1月に発売された『ブレインロード』だ。本作はアクションRPGだが、主人公はレベルアップしない。そのため、強い武器や防具を装備して戦いを有利にする必要があった。
本作のストーリーは、ドラゴン討伐のために出かけて行方が分からなくなった父を探すため、主人公はその手がかりを求めて旅へ出るというもの。基本はダンジョンMAPでの戦闘や謎解きがメインで、動き回る敵を倒して仕掛けを解きながらカギを入手していく。
主人公のパートナーになるのは妖精たちだ。この妖精たちのレベルを上げて、攻撃力をアップしていく。謎解きの途中で登場する敵キャラを相手にするのが大変で、“消える床”では進行方向を考える必要があるので、徐々に近づく敵キャラが本当に厄介だった。
当時から友人たちの間でも賛否両論があったゲームで、『ゼルダの伝説』や『聖剣伝説』が好きなタイプには好評だったが、『ドラクエ』シリーズのようにコマンド式のRPGが好きなタイプにはウケが悪かったように思う。
また、ボスキャラのなかに気持ち悪い害虫もどきがいて、最初は勘弁してくれと思ったものだ。あんなのが動き回ってきたら恐怖でしかないだろう。
■軽快なテンポでサクサク進む! ポケモンのような戦闘だった? 『スラップスティック』
7月に発売されたのが『スラップスティック』だ。主人公はロボットを作って、悪の組織「ハッカー」と戦っていく。
主人公は当時のRPGの定番のような勇者ではなく、普通の少年だ。普通といっても父親が天才博士「アキハバラ」というだけあって、主人公である息子もロボットを作れる天才肌。そのため主人公は、自分が戦うのではなくロボットを送り出して戦いに挑んでいくのだ。
初めて襲ってくる敵キャラはなんとハッカーの戦闘員。しかも父が協力を拒んだために、主人公は人質にされそうになってしまう。う〜ん、どう考えても『仮面ライダー』のショッカーをもじっているように見えて仕方ないのだが……。
主人公はロボットでの戦闘で勝利していくと、レベルが上がっていく。一見、レベル上げは不要にも感じられるが、主人公はレベルに合わせて「発明の友」という本を読むことが可能となる。これはロボットを強化していくのに必要な本なのだが、レベルごとに読める内容が異なるので、戦いを経てレベル上げをしていくことが必要なのだ。
テンポ良く進む物語やグラフィック、戦闘シーンものちにゲームボーイで登場する『ポケットモンスター』シリーズに共通するイメージがあった。筆者の子どもたちがポケモンをプレイしているのを見ていると、やけに本作のことを思い出したものである。