グリフィスにハンマーナオも! 思わず胸が苦しくなってしまう…「化け物になった友だち」と戦った漫画主人公たちの画像
ヤングアニマルコミックス『ベルセルク』第12巻(白泉社)

 漫画やアニメ作品において「友情」は、物語に深みをもたらす大切な要素の一つだ。熱い友情が描かれる印象的なシーンがあればあるほど、切磋琢磨しながら成長を遂げていく彼らに感情移入して読者も胸が熱くなる。

 しかし、漫画の中には大切な友だちと敵として再会し、戦うことを余儀なくされるという展開も珍しくない。さらに、その友だちがかつての姿とは違う「化け物」的な変化を遂げてしまっていたとしたら……。今回は、読者も思わず胸が苦しくなってしまう、変わってしまった友だちと拳を交えた主人公たちを見ていこうと思う。

■ガッツへの執着心が生んだひずみ…ゴッド・ハンドに転生

 圧倒的な作画と壮大な世界観で読者を魅了する三浦建太郎さんの漫画『ベルセルク』。現在は三浦さんの弟子たちによる漫画ユニット「スタジオ我画」と森恒二さんによって連載が引き継がれた同作では、「黄金時代編」で、主人公・ガッツの友人であるグリフィスがゴット・ハンド「フェムト」に転生し、最強の敵となるまでの経緯が描かれた。

 洞察力・人心掌握スキルが高く、ずば抜けたカリスマ性を持っていたグリフィス。団員は彼を尊敬し、「自分の国を作る」という夢を全力で支えた。ガッツとグリフィスは団長と部下以上の絆で結ばれていたが、ある日、ガッツが鷹の団を抜けたことによって、二人の関係の崩壊が始まる。ガッツに対して誰より強い執着心を抱いていたグリフィスは、自暴自棄になって王女の操を奪い、その罪で国王のしもべから酷い拷問を受け、二度と剣を振るえない哀れな姿になってしまう……。

 一年後、わずかに残った鷹の団はガッツとともにグリフィスを奪還する。だが、かつてとは違うガッツの姿を見たグリフィスはさらに絶望し、自ら死を選ぶもそれさえもできず、「蝕」を呼び起こし、鷹の団を生贄に捧げてゴッド・ハンドへ転生してしまった。

 グリフィスは因果律で選ばれた者のため、どんな道を辿ろうとゴッド・ハンドになっていただろう。しかし、人生で初めて夢を忘れるほど夢中になったガッツが去り、絶望したグリフィスが転落していく姿は見ていて苦しかった。

 一方で、圧倒的な輝きを放つグリフィスに憧れと尊敬を抱き、彼の夢を叶えるために剣を振るってきたガッツ。自分は対等になれてないと感じ、グリフィスにとっての自分の存在意義を見出せなくなってしまう彼の心もまた、切ないものだった。 

■心通わせた矢先…友人が呪霊にされる悲劇

 芥見下々さんの漫画『呪術廻戦』では、主人公・虎杖悠仁の友人である吉野順平が彼の目の前で呪霊になり、悲しい最期を迎えてしまった。

 不良から凄惨ないじめにあい不登校になっていた順平は、ある日、映画館で不良が殺されているところを目撃する。元々術式を持っていた順平は犯人と思われる真人の姿を視認し自ら接触、憎しみを晴らすため術式を引き出してもらい呪詛師になった。

 真人は「君のすべてを肯定するよ」と言葉巧みに順平の心に入り込む。苦しんできた順平にとって、自分を認めてくれる真人は呪霊であろうと嬉しかっただろう。

 その後、順平は虎杖と知り合い意気投合する。虎杖が呪術師だと知っていたので真人の事は伏せたままだが、彼の言葉で復讐心も柔らいだその矢先、夏油と真人の策略によって母親が呪霊に惨殺されるという悲劇が起こった。不登校の息子を暖かく見守る愛情深い母親だったため、この展開には憤りを感じたものである。

 真人の誘導で犯人を不良たちだと思い込んだ順平は、学校を占拠し復讐を始めた。止めに来た虎杖は怒りと絶望に狂う順平を「絶対に順平を呪ったりしない。高専に来て一緒に戦おう」と真正面から受け止めるが、真人の無為転変を受けた順平は中途半端な改造人間にされてしまう。

 必死で順平を救おうとする虎杖だが宿儺が協力するはずもなく、順平は「ゆ…うじ…な…んで?」と言いながら絶命する。目の前で友だちが殺されるというこの凄惨な出来事は、虎杖の呪霊に対する意識を大きく変え、術師として目覚めていくきっかけとなった。

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