卓越した演技や声色を活かし、作品に登場するキャラクターに命を吹き込む声優たち。昨今では、声優として“芸人”が配役されることも少なくはない。作中で演技力を見せつけた、意外な“芸人”たちの活躍について見ていこう。
■立ち振る舞いや性格、見た目まで似ている? 『アイシールド21』
2002年に『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載された『アイシールド21』は、“アメリカンフットボール”を題材にした一風変わったスポーツ漫画だ。
原作・稲垣理一郎さんが仕掛ける緻密なシナリオと、作画・村田雄介さんの圧倒的な画力が融合した結果、連載後瞬く間に人気を集め、2005年にはアニメ版が放送されることとなった。
個性的な選手が数多く登場する本作だが、なかでもひときわ“アク”の強いキャラクターといえば、本作のもう一人の主人公ともいえる蛭魔妖一だろう。
主人公・小早川瀬那をアメフト部に引き込んだ張本人で、逆立った金髪に尖った耳や歯と、どこか“悪魔”を彷彿とさせる容姿が特徴的だ。性格は見た目に反さず“傍若無人”で、その暴力的かつ破壊的な立ち振る舞いから「ヒル魔」と周囲から恐れられている。
そんな蛭魔を演じたのは、お笑いコンビ「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんだ。実は田村さん、蛭魔に対して「自分とそっくり」と感じており、それをきっかけに彼の声優を担当することが決定したのだとか。
メインキャラの一人であるゆえに出番も多い蛭魔だが、田村さんは彼の尖った性格、立ち振る舞いを見事に演じ、アニメ版をおおいに盛り上げることに成功している。
田村さんが放つ蛭魔の口癖「YA--HA--!!」は、まさにアニメ版『アイシールド21』になくてはならない存在だろう。
■“関西弁”と“画力”がもたらすインパクト…『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕』浜田雅功
『ポケットモンスター』といえば、日本が誇る大人気RPGゲームだが、その高い人気からアニメシリーズの放送はもちろん、数々の映画作品が作成されている。
映画版はさまざまな芸能人が配役されることも珍しくはないのだが、1999年に公開された『劇場版ポケットモンスター 幻のポケモン ルギア爆誕』では、いまやお笑い界のレジェンドともいえるコンビ「ダウンタウン」のツッコミを担当する浜田雅功さんが、あまりにも意外な役で登場していた。
“浜ちゃん”の愛称で親しまれている浜田さんだが、なんと彼は本作でポケモンであるヤドキングの声を担当している。
ヤドキングは知能が非常に高いため、ロケット団のニャース同様、人語を用いたコミュニケーションをとることが可能。浜田さんはいつもどおり“関西弁”でヤドキングを演じていた。
その圧倒的な存在感から、のちにこのヤドキングを主役にした「ヤドキングのいちにち」というアニメ作品が放映されたり、浜田さんが描いた「ハマちゃんのヤドキング」なるポケモンカードが作成されるなど、意外な展開を続けていくこととなる。
持ち前の“関西弁”のみならず、唯一無二の“画力”まで発揮した意外な配役だ。