『スターソルジャー』“ワイルドな青年”に『マドゥーラの翼』“黒装束の男”も…ファミコンパッケージに描かれているのにゲームに登場しない“謎の人物”たちの画像
『スターソルジャー』プレイ画面(編集部撮影)

 ファミコンのパッケージはゲームのストーリーや内容を想起させるものだが、ときには作品とはまったく関係のない奇妙な存在が描かれていることもある。思わず「いったい、誰なの?」と首を傾げてしまう、摩訶不思議なキャラクターたちの存在について見ていこう。

■ワイルドな風体が勇ましい彼はおそらく“主人公”?『スターソルジャー』謎の青年

 ファミコンには数多くの「シューティングゲーム」が登場しているが、なかでも1986年にハドソンから発売された『スターソルジャー』は、その完成度の高さから多くのプレイヤーを唸らせた名作である。

 もともと、縦スクロールシューティングである『スターフォース』を同社がファミコンに移植したのだが、その大ヒットをきっかけにオリジナル作品として生み出されたのが、この『スターソルジャー』である。

 広大な宇宙を舞台に、プレイヤーは最新小型戦闘機「シーザー」を操作し、人類と敵対する人工頭脳に挑んでいく。弾幕やギミックを回避しながら群がる敵機を撃墜していく爽快感はもちろん、パワーアップによって自機が変形したりと、細かい演出の数々がプレイヤーを盛り上げてくれる。

 そんな本作のパッケージには赤く染まった空に浮かぶ巨大な“要塞メカ”と、それをバックにこちらを見つめる躍動感のある、“とある男性”の姿が描かれている。背景のメカは本作のボスキャラとして登場する「ビッグスターブレイン」らしいのだが、肝心なのは前面に立つこの男性だ。

 胸元をはだけさせた戦闘服に、ところどころに巻かれた包帯にワイルドな印象を受ける青年。しかし実は、作中に彼と思われる男性はいっさい登場していない。

 ゲームでは終始、自機を操作してのシューティングシーンが展開され続けるため、そもそも人間の姿自体が登場せず、長らくこの男性が誰なのかは謎のままになっている。

 そのヴィジュアルや立ち位置から、おそらくは主人公である自機のパイロットと思われるが……その正体は、いまもなお謎に包まれたままである。

■本当はこっちの姿も見てみたかった…『マドゥーラの翼』黒装束の男

 ファミコンといえば「アクション」も外すことのできない人気ジャンルだが、なかには「RPG」のような成長要素をミックスしたものも多く登場している。

 1986年にサンソフト(サン電子)から発売された『マドゥーラの翼』も、そんなアクション作品の一つだ。ファンタジーの世界観をベースに、剣だけでなくMPを用いた数々の魔法を駆使しながら、宿敵・ダルトスの打倒を目指し冒険していくこととなる。

 アクションとRPGを融合したゲーム性はもちろん、主人公の少女・ルシアをはじめ、もりけん氏によってデザインされたキャラクターたちの可愛さもファンの人気を獲得する要因となった。

 そんな本作のパッケージだが、赤く染まった世界を背景に、主人公・ルシアと“謎の男”が剣を片手に対峙する、緊迫感溢れるイラストとなっている。

 だが、問題なのはルシアに迫ってくる、この“謎の男”。黒装束にマント、金色のプロテクターにツノ……となんとも仰々しい姿をしているのだが、実はこの人物こそ本作のラスボスとなるダルトスその人である。

 主人公に立ちはだかる悪役であるため、一見違和感はないように思えるが、ダルトスはラスボスとして登場する際はすでに怪物の姿であるため、作中ではこの“人間形態”の姿を一度たりとも披露していない。ましてや、パッケージにあるような“剣”での斬り合いが展開されることもないのだ。

 イラストから敵役であることは察することができるものの、それが作中にすら登場しないラスボスの姿だとは……プレイヤーは夢にも思わなかったことだろう。

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