どんな物語? 35周年迎えたファミコン『ファイナルファンタジー2』クセ強システムに鬼難易度…後の「サガシリーズ」にもつながる意欲作の魅力の画像
天野喜孝氏によるイラストが描かれたファミコン『ファイナルファンタジー2』(編集部撮影)
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 1988年12月17日にスクウェアから発売されたファミリーコンピュータ用RPG『ファイナルファンタジー2』が、本日で35周年を迎えました。

 超人気RPGシリーズ『ファイナルファンタジー』のなかで、一番好きな作品は? と聞かれて『FF2』と答える人はかなりの”通”といえるでしょう。筆者の生まれる前に発売された本作は、ドラクエが人気に火をつけた「RPG」というジャンルが作り上げたイメージを打ち破る、あまりにも斬新なシステムを採用したことでも知られています。

『ファイナルファンタジー』自体も超人気シリーズでありながら、『FF2』制作の中心メンバーであった河津秋敏さんがそのシステムを受け継いで、後に『サガシリーズ』というこれまた人気のRPGシリーズを作ったことからも分かるとおり、本作はRPGとしては異色ながらも非常にゲーム的な魅力が詰まった作品だったとも言えるでしょう。

 しかし、冒頭でも記したように『FF』のなかでは人気の作品というわけではありません。ファミコンの作品なので後のシリーズ作品よりも容量や技術に差があるので仕方ない面もありますが、その独特なシステムに賛否が分かれたとも言われています。

 今回は発売からそんな『FF2』の思い出を語っていきましょう。

■かなり重めなストーリーだけど、戦争の愚かさを教えてくれた

 まずはストーリーをご紹介します。

 世界征服を目論むパラメキア帝国の皇帝が、地獄の底から呼び寄せたモンスターを従えて、世界中に攻撃を仕掛けるところから物語が始まります。主人公のフリオニール・マリア・ガイ・レオンハルトが住むフィン王国は、皇帝に反旗を翻す反乱軍となって立ち向かいますが、パラメキア帝国の強大な力の前にはなすすべもなく、陥落してしまいます。

 フィン王国の陥落後、逃亡していた4人でしたが帝国軍の「くろきし」に襲撃され、瀕死の重傷を負います。

 倒れたフリオニールが目を覚ますと、そこにはフィン王国の王女ヒルダとその側近である白魔導士ミンウがいました。瀕死の重傷を負っていたフリオニールでしたが、ミンウによる素早い治療により一命をとりとめていたのです。そして、目が覚めたフリオニールはマリアとガイと合流します。そこにレオンハルトの姿はありませんでした。

 こうしてフリオニールたちはレオンハルトの捜索と帝国軍の対抗のために、反乱軍への参加をヒルダに願い出るのでした。

 これが物語のあらすじです。戦争が始まり、それに伴って故郷を追われた若者が仲間の捜索と平和のために立ち上がる、というお話。すでに悲劇の香りがしますね。

 35年前の作品ではありますし、かなり有名なキャラクターなので、あるキャラクターの話はすでにご存知な方も多いかもしれませんが、念のためネタバレは控えます。ただ戦争がテーマなだけに、まだ登場していないキャラも含めて結構な人が死に、話はかなり重たいまま最終盤まで進んでいきます。「FFナンバリングの偶数回は話が重め」というのはこの『FF2』から始まったといえます。

 本作のキャッチコピーは「この悲劇、忘れない。」というものです。尊い犠牲の上にすべてがあり、エンディングをハッピーエンドととるかはプレイヤーによりますが、終わってみると本当に「支配ってクソだな」という感想しかありません。今生かされている人たちが悲劇をどう乗り越えていくのか、を描いた作品でした。

 ただ、そんな重めなストーリーのなかでも、フリオニールがある女性に誘惑されて生つばを飲み込むシーンがあったりなど、若者ならではの青さが作品の魅力をより引き出しています。

『ドラクエ』では主人公に名前がつかないので、デフォルトで名前と性格がしっかりと定められていたのは当時のRPG主人公としては画期的だったのではないでしょうか。ちなみに主人公にセリフが入ったのも『FF2』が最初でした。

 さて、そんな重めで主人公にもしっかり設定が割り振られている作品ですが、フリオニール・マリア・ガイといったパーティメンバーの成長の自由度はかなり高めで、これにより一筋縄ではいかない難易度になっているのが本作の特徴です。

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