■俺たちも歌おう『MOTHER2』木村拓哉
最後に、1994年発売のスーパーファミコンソフト『MOTHER2 ギーグの逆襲』のテレビCMを紹介する。
『MOTHER2』は、コピーライターの糸井重里さんがプロデュースしたRPGで、その後、ゲームボーイアドバンスやWii U、3DS、スーパーファミコン Nintendo Switch On lineで発売されるなど、今でも根強い人気の名作ソフトだ。近年ヒットしたインディーゲーム『UNDERTALE』の開発者であるトビー・フォックスも、影響を受けたゲームの1つとして本作を挙げている。
そのオリジナルであるスーファミ版『MOTHER2』のテレビCMには、当時21歳だった木村拓哉さんが出演していた。この年の木村さんは、SMAP全員が出演したことで話題になった映画『シュート!』、さらにはテレビドラマ『若者のすべて』にも出演し、グループとしても“キムタク”としても知名度をぐんと上げた年だった。
『MOTHER2』のCMも、そんな木村さんを最大限に生かした内容だ。舞台はどこにでもあるような喫茶店で、お客さんと店員がいきなり「マーザーツー マーザーツー」と歌い出す。偶然その店を訪れていた木村さんと連れの幼稚園児も最初は困惑しながらも「俺たちも歌おう」と、一緒に歌い出すというもの。
このようにかなりシュールな内容なのだが、そこには木村さんだからこそ生み出せる面白みがあり、さらに「マーザーツー マーザーツー」というフレーズも妙に耳に残り、ついつい口ずさんでしまうような不思議な魅力のCMだった。
今回は、時代を彩ったファミコン&スーファミのゲームCMと、そこに出演していた芸能人たちを紹介してきた。当時からスーパースターとしての出演で記憶に残っていたものから、なかには今まで気づかなかった意外な出演もあったのではないだろうか。
いずれも当時のCMらしいアイデアとオリジナリティ溢れるもので、そこに出演していた芸能人たちも非常に初々しい姿だった。