「ポケモンタワーのゆうれい」に「シーキンセツ」も…『ポケモン』ゲームに登場する“トラウマエピソード”の画像
『ポケットモンスター赤』(編集部撮影)

 今年12月14日には『ポケットモンスター スカーレット・バイオレット』の新たなダウンロードコンテンツも予定されており、更なる盛り上がりを見せている『ポケモン』シリーズ。広い世代から愛されている作品だが、唐突に登場する不穏な演出も本作のアクセントとなっている。プレイヤーのトラウマにもなっている、『ポケモン』のゾッとする演出について見ていこう。

■初代のトラウマといえばやっぱりこれ…「ポケモンタワーの“ゆうれい”」

 いまもなお、新たな作品が生み出されている『ポケモン』だが、1996年に発売されたゲームボーイ用ソフト『ポケットモンスター 赤・緑』こそ、のちに続く大人気シリーズの記念すべき初代作品にあたる。

 プレイヤーは旅の途中で数々のスポットに立ち寄ることとなるのだが、なかでも強烈な印象をもたらしたのが、中盤で足を踏み入れる「シオンタウン」だろう。

 どこか物悲しいBGMが流れるこの街には、死んだポケモンを供養するために建設されたポケモンタワーがあり、街を象徴するスポットとなっている。

 いわゆる“霊園”に近い施設なだけに、墓が並ぶフィールドや祈祷師のようなトレーナーが襲い掛かってくるなど、いままでとは一風変わったなんともおどろおどろしい空気が印象的だ。

 そして、このタワー最大のイベントといえば、やはり6階に現れる謎の“ゆうれい”だろう。7階への階段を塞いでおり、近付くと「タチサレ!……ココカラ タチサレ……」という言葉とともに、プレイヤーを押し返してくる。

「シルフスコープ」なるアイテムを入手することで正体が明らかになるのだが、実はこの“ゆうれい”、死んだガラガラが悪霊となったものだった。カラカラやガラガラの骨が高く売れることからロケット団に狙われ、子どものカラカラとともに逃げる際に殺害され、死別……という悲惨な過去があり、その恨みつらみから“ゆうれい”に変貌したのだ。

 イベントの内容こそおどろおどろしいが、一方でその背景に隠された痛々しい過去に、思わず胸を締め付けられてしまう。シオンタウンのどこか不安になるシチュエーションも相まって、プレイヤーに強烈な印象を与えるイベントだ。

■リメイク版で不穏さ倍増…? 「シーキンセツ」

『ポケモン』は、過去に発売されたものを新たなハードで作り直した“リメイク作”も数多く登場している。2014年に発売された『ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア』も、そんなリメイク作の一つ。グラフィックやシステムの向上はもちろんのこと、ストーリーや一部のダンジョンなども新たなものに差し替えられている。

 たとえば、過去作には「すてられぶね」という廃船を利用したダンジョンがあったのだが、リメイク版では「シーキンセツ」という名前に変わり、内部の構造やトレーナーの配置なども大きく変更された。

 海底資源採掘所の跡地という設定になったため、そこかしこにかつて人々が勤務していた際の形跡が残っているのだが、その内容はどこか不穏な空気を漂わせるものばかり。

 まず、入り口に残された看板には企業の“社訓”が書いてあるのだが、「遅刻厳禁 残業上等」、「休みたがりません定年までは」といった、過重労働を彷彿とさせる文言が並ぶ。あげく、“産業スパイ”を送り込んでいたと思われる形跡まで残されており、なかなか穏やかではない記述が満載なのだ。

 さらに、なぜかベッドの下に「独占! 世界の おとなのおねえさん!」、「モーレツ! 世界の やまおとこ!」といった、どう見ても大人向けと思われる意味深な本が隠されていたりと、ブラックジョーク的な展開が続く。

 そして極めつけは、“画面が切り替わるといつの間にか背後に置かれている「かなめいし」”や、“ソライシ博士にまつわる哀しすぎる過去の記憶”……、などなど、子ども向けのゲームとは思えない、重々しいホラー展開の数々が用意されている。

 社会の裏側に下ネタ、怪奇現象に重々しい過去と、プレイヤーの精神にダメージを与える演出のオンパレードなのだ。普段の明るくポップなノリから一変、徹頭徹尾、“黒い”演出が光るトラウマスポットである。

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