■帰れるが帰れない…恐怖の最難関ダンジョン
最後は『ロマサガ2』や『MOTHER2』とはまた違った理不尽さのある、『ファイナルファンタジー3』のクリスタルタワーだ。
クリスタルタワーは、『FF3』のラストダンジョン。ダンジョンとしては別々であるものの、主人公たちの冒険として考えると、古代の民の迷宮から、禁断の地エウレカへ寄り、クリスタルタワーの攻略まで、ほぼずっと一連の建造物の中での戦い通しとなる。
クリスタルタワーの入り口にある、禁断の地エウレカへ入る際には「禁断の武器を封印した禁断の地 エウレカへの扉なり…」というテキストが出る。「はい」「いいえ」の選択肢が出る警告文とは違うものの、最終局面のムードを掻き立てられるメッセージだ。
クリスタルタワーは、『ロマサガ2』や『MOTHER2』のラストダンジョンとは違い、いつでも引き返すことができる。しかし、脱出魔法であるデジョンやテレポは使用不可能。そして攻略は約2時間かかる長丁場。回復ポイントもセーブポイントも無いという、高難易度仕様となっている。
引き返せなくはないものの、引き返すには相当な時間と手間がかかる。引き返せないのと同義か、人によってはそれ以上の理不尽さかもしれない。
警告メッセージ無しに、引き返すのが非推奨なダンジョンを何時間も巡る。そういった要素もまた、ラストダンジョンの困難さを、プレイヤーがダイレクトに感じることができる、臨場感あふれる演出であった。
ゲームのシステムと、テキストの合わせ技によって、プレイヤーに体感として、敵の脅威や冒険のクライマックスを感じさせる作りとなった、ラストダンジョンの演出。現実を侵食するレベルの体験をすることができる、優秀な演出の3本だ。