■劇場版アニメを追体験できる『AKIRA』

 1988年にタイトーから発売されたファミコンソフト『AKIRA』。原作は、現在も世界的人気を誇る大友克洋さんの『AKIRA』だ。漫画と劇場版アニメではストーリーや設定に異なる部分が多いが、このゲームは劇場版のストーリーを追体験できるような内容になっている。

 グラフィックはファミコンとしてはトップクラスと言っていいだろう。オープニングから赤い「金田バイク」が登場し、『AKIRA』独特の世界観に突入する。キャラも金田や鉄雄はもちろん、ケイや大佐、ナンバーズの3人などきちんとグラフィックありで登場するのがいい(ただジョーカーが出ないのが残念、あんなにゲーム映えするキャラはいないと思うのだが……)。

 さらに、アニメの名シーンが動きのあるグラフィックとセリフを交えながら忠実に再現されている。特に、金田と鉄雄のラストバトルには気合が入っていて、鉄雄の力が暴走するシーンはなかなか見ごたえがあった。

 ゲーム自体は、行動選択式のアドベンチャーゲーム。良くも悪くもオリジナルの劇場アニメに忠実で、選択肢が多い割には、実は選択できるのは極端に限られている。つまり、オリジナルになかった行動を選択してしまうと、即逮捕や即死など理不尽にゲームオーバーになるのだ。このシステムがゲームとして楽しいかというと疑問である。

 ラストこそ、映画にないエンディングが見られるマルチエンディング方式になっているが、(当時としてはきびしかったのかもしれないとはいえ)その他の選択肢も即ゲームオーバーでなく分岐要素が欲しかった。

 

 今回は、グラフィック再現度が素晴らしかったファミコンの漫画原作ゲームを3つ紹介してきた。いずれのソフトも当時のファミコンらしいクセのあるゲームで、正直プレイヤーを選ぶものだとは思う。

 一方でグラフィックは、限られた容量の中で再現する技術やアイデアが素晴らしく、原作へのリスペクトもしっかり感じられるものだった。原作ファンであれば、ぜひ挑戦してみて欲しい。

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