『水島新司の大甲子園』や『AKIRA』など… ファミコンのグラフィック再現度が素晴らしかった“漫画原作ゲーム”の画像
ファミコンソフト『平成天才バカボン』(ナムコ)
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 1983年に発売されたファミコンは、今年で40周年だ。当時、最新機器のファミコンであったが、それでもカセットの容量は最大1MB。現在は100GBを超えるタイトルもあり、単純に考えると10万分の1の容量しかなかった。しかし、その限られた容量、限られた表現方法でも、原作漫画を見事なグラフィックで再現したゲームが作られてきた。

 そこで今回は、グラフィック再現度が素晴らしかった漫画原作のファミコンソフトを厳選して3つ紹介する。グラフィックはもちろんだが、肝心のゲームの面白さのほうもチェックしていこう。

■配球の駆け引きが楽しい『水島新司の大甲子園』

 まず、1990年にカプコンから発売された『水島新司の大甲子園』を紹介する。水島漫画のキャラクターたちが、作品を越えて一堂に会するオールスター的作品『大甲子園』。それをもとに作られたのがファミコンソフト『水島新司の大甲子園』である。

 オープニングは「球けがれなく 道けわし」という、水島作品ではお馴染みの名言からはじまり、ファンとしてはテンションが上がってしまう。グラフィックは漫画『大甲子園』そのまま。人気キャラの顔グラフィックをはじめ、ピッチングやバッティングなど、ファミコンで多少の粗さは感じるものの、原作の絵柄が忠実に再現されている。山田太郎のごう打や殿馬の秘打など、必殺技のグラフィックは特にアツい。個人的には、南海権左がスタンドで喜んでいるグラフィックが用意されているのもうれしかった。

 ゲーム自体はシミュレーション野球ゲームである。『パワプロ』や『プロ野球スピリッツ』のような、スティックや各種ボタンを駆使したアクション操作とは違い、コマンド式でどちらかと言うとRPGに近い。この独自のコマンド式野球によって、原作漫画の特徴でもある「必殺技」と「リアルな配球の駆け引き」の絶妙なバランスがゲームでも感じられる。今プレイしてもやりごたえ十分で、逆に野球ゲームとして新鮮に感じる人も多いのではないだろうか。

■パパがコミカルに動き回る『平成天才バカボン』

 次に紹介するのは、1991年にナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)から発売されたファミコンソフト『平成天才バカボン』。原作はもちろん、赤塚不二夫さんの人気漫画『天才バカボン』で、厳密に言うと、アニメ第3作『平成天才バカボン』のゲーム化である。

 まず、ハジメちゃんとママがバカ田大学の人にさらわれ、バカボンのパパが救出に向かうというオープニングからはじまる。当時のファミコンソフトには多かった横スクロールのアクションゲームで、バカボンのパパがいろいろなモーショングラフィックスで動く。段差をよじ登るアクション、ラーメンや牛乳を食べて飲んで体力回復、ダメージを食らったときの表情、一定時間操作しないとこっちを見るなど、なかなか芸が細かい。さらには、息子のバカボン、レレレのおじさん、本官さん、ウナギイヌなど、おなじみのキャラクターも登場し、エンディングではハジメちゃんとママにも会える。

 ゲーム自体は一般的な横スクロールアクションゲームだが、先ほど紹介したパパのモーションが良くも悪くも多く、そのせいで全体的にもっさりとしてしまっている。各ステージのボス戦もそこまで緊迫したものではないので、アクションゲームとしては若干物足りなさを感じてしまうかもしれない。

 しかしそれは、原作であるギャグ漫画『天才バカボン』の魅力を損なうことなく、アクションゲームに落とし込んでいるからとも言える。原作ファンからしたら、パパが普通にアクションし、敵を倒しまくっているのは見たくないだろう。天才バカボンのゲームはこれでいいのだ!

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