1963年4月に創刊された『マーガレット』(当時は『週刊マーガレット』)と同年12月に創刊された『別冊マーガレット』。数々の人気少女漫画を生み出してきた同誌の作品は、同じく集英社の『りぼん』に比べると読者の年齢層がやや上で、2023年にNetflixで独占配信がスタートした椎名軽穂さんの漫画を原作としたドラマ『君に届け』を始め、実写としてテレビドラマ化を果たした作品も多い。
今回は、『マーガレット』2誌で連載されていた作品の中からドラマ版の人気が高かった名作を紹介しようと思う。
■イケメン執事たちに大興奮!『メイちゃんの執事』
まずは2006年から『マーガレット』で連載が始まり、続編『メイちゃんの執事DX』が2014年から連載された宮城理子さんによる漫画『メイちゃんの執事』。2年の休載を挟み、2023年6月発売の『マーガレット』13号でシリーズ完結を迎えた同作は、2009年にフジテレビ系でドラマ化され人気となった。
物語の主人公は平凡な高校生(原作では中学生)の東雲メイ。交通事故で両親を亡くした後に父親が本郷家という大富豪だったこと、そして本郷グループの後継者になったことを告げられたメイが、身を守るために聖ルチア女学園に入学するが、そこは女子生徒ひとりひとりに専属執事がつくというとんでもないお嬢様学園だった、というストーリー。
この非日常的なストーリーのポイントとなるのが、イケメン執事たちだ。ドラマでは、メイの執事・柴田理人役に水嶋ヒロさん、幼なじみ・柴田剣人役に佐藤健さんという仮面ライダー俳優コンビを起用し、本郷詩織の執事・忍役に向井理さん、みるくの執事・大門役に鈴木亮平さんなど、豪華な俳優たちが出演している。
イケメンな彼らが完璧な執事として尽くす姿は人気を博し、「自分も入学したい」という視聴者からの声も多かった。さらに、同作は女優陣も華のある美女ぞろい。主人公メイ役に榮倉奈々さん、本郷詩織役に山田優さん、竜恩寺泉役に岩佐真悠子さんなど、右を見ても左を見てもお嬢様キャラの似合う魅力的なキャスティングばかりであった。
ドラマ版『メイちゃんの執事』は原作と設定が変わっている部分もあったが、メイと理人の深まっていく関係性にもワクワクしたものである。
■一途な女の子の恋と成長を描く『イタズラなKiss』
続いては1990年に『別冊マーガレット』で連載が始まった多田かおるさんの漫画『いたずらなKiss』。1996年にテレビ朝日系でドラマ化され、台湾、韓国、タイなどでもドラマ化された人気作品である。
同作は、IQ200の天才・入江直樹と高校の入学式で彼に一目惚れをした主人公・相原琴子の恋愛模様を描いた学園ラブコメディ。周囲に対して常にクールで冷たい直樹に何度そっけなくされても振られても、諦めずに一途な想いをぶつける琴子の姿は、ドラマ版でも多くの視聴者の心を掴んだ。
ドラマでW主演を務めたのは、柏原崇さんと佐藤藍子さんである。漫画版の琴子はロングヘアで身長が158cmと小柄だが、佐藤さんはショートヘアで身長164cmと少々雰囲気は違っていた。しかし、佐藤さんならではの表情豊かで元気いっぱいな琴子は、また違う魅力があったように思う。
さらにドラマでは、浅田美代子さん、内藤剛志さん、徳井優さんといった安定感抜群な役者たちが琴子と直樹の両親役として脇を固めている。2013年には新生「イタキス」となる『イタズラなkiss〜Love in TOKYO』が放送されており、柏原さんと佐藤さんがサプライズ出演した。
海外でのドラマ化や、新生イタキスなど、今も魅力が色褪せない同作だが、作者の多田さんは1999年に不慮の事故で亡くなっている。多田さんが描く琴子の恋の結末を読みたいと願うファンは多いだろう。