■一大旋風を巻き起こしたラブコメ『花より男子』

 最後は『花より男子』を紹介する。神尾葉子さんによる同作は1992年から2004年まで『マーガレット』で連載されて以来、電子版を含めて累計発行部数6100万部オーバーの大ヒットを飛ばし、「最も多く発行された単一作者による少女コミックシリーズ」としてギネスに認定されている。

 2005年と2007年にTBS系でテレビドラマ化され、2008年には映画『花より男子F(ファイナル)』が公開。歴代『マーガレット』の中でも、ドラマ化がピッタリハマった作品の代表作であることは間違いないだろう。

 ドラマ版では、芸能活動再開からの連続テレビ初主演となった井上真央さんを主人公・牧野つくし役に起用。金持ちが通う英徳学園に編入することになった平凡な女子高校生である彼女が、学園の支配者・F4との出会いをきっかけに、集団いじめや三角関係の恋といった様々な体験をしていくというラブコメディだ。

「イケメン揃い!」との声が多く寄せられていたF4メンバーを振り返ると、「道明寺司=松本潤さん」「花沢類=小栗旬さん」「西門総二郎=松田翔太さん」「美作あきら=阿部力さん」と、ビッグネームが揃い踏みだ。中でも、花沢類を演じた小栗さんは、今作で大ブレイクを果たし、現在も高い人気を誇りながらキャリアを積み続けている。

 小栗さんは、2020年10月24日放送の『人生最高レストラン』に出演した際に、渋い役を求めていて花沢類役を受けるのが実は嫌だったと語っている。マネージャーとも何度も話し合ったそうで、最終的に姉から「花沢類はお前じゃない。絶対にありえない」と否定されたことで逆にやる気になったそうだ。この言葉で出演を決めるとは、小栗さんの負けん気の強さを感じるエピソードだ。

 少女漫画に限らず実写ドラマ化は賛否が分かれやすいジャンルの一つだが、『メイちゃんの執事』『イタズラなKiss』『花より男子』といったドラマは、初代ドラマが放送された後にも続編やリメイク作品が制作されており人気が高かった。今ではベテランの域に入る俳優たちが全力で役と向き合っている姿も新鮮である。 

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