■ストロングスタイルの実力勝負『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』
最後は1985年にバンダイから発売された『オバケのQ太郎 ワンワンパニック』。ファミコン時代に発売された藤子不二雄作品を原作としたゲームの中で、もっとも難しいと言っても過言ではない1本だ。
こちらはQ太郎を操る横スクロールアクションで、犬や鳥たちの攻撃を避けながらステージ最後に待つ友だちに会いに行くというゲーム。Q太郎は空中飛行できるが、ライフは空腹により徐々に減っていくため、道中にあるケーキや果物などを食べつつ進むことになる。この「敵を避けながらアイテムを取る」というのが非常に難しい。1、2面あたりまではなんとかクリアできるものの、子犬は飛ぶわ、鳴き声の攻撃は早いわ、鳥は卵を落とすわ、空からも陸からも攻撃が襲い掛かるとんでもない難しさになっていく。あまりの難しさに、ついコントローラーを投げてしまったという人も多いのではないだろうか。
とはいえ、子ども時代よりも学習能力は上になっているはず。パターンを覚えて再チャレンジを繰り返すと、じわじわと先へ進めるようになる。……のだが、10日目(10面、正太の巻)が鬼門だ。
先述したように、Q太郎は食べ物を拾わないとパワーがなくなり空が飛べなくなってしまうのだが、10日目になると食べ物が出現しなくなる。ステージ上のどこかを歩き、隠れた宝石を出現させ、それを取ることで食べ物が出るという仕組み。二重にアイテムを取ることを強制する新システムが、ようやく辿りついた10日目で唐突に実装される。もちろん、宝石を取る時間の分、ライフ管理もよりシビアに。これは普通の人にはクリアできないと、大人になった今もまた断念することになった。
この3作品の激ムズ藤子不二雄ファミコンゲームたち。『ハットリくん』と『キテレツ大百科』には救済テクがあるとはいえ、それを駆使しても難しい。理不尽難易度のゲームが、控えめの理不尽難易度になるだけなのであった。