■「おろかものめ!」バトルシーンのセリフが面白かったSNKの『里見八犬伝』
最後は、1989年にSNKから発売された『里見八犬伝』だ。このゲームは同年に東映動画から発売された『新・里見八犬伝』と混同されがちだが、ここではSNKのゲームを取り上げる。
八犬士を全員集めるのかと思いきや、操作できる仲間は限られており、主人公・犬塚信乃をはじめ、犬飼現八、犬山道節、犬川荘助の4人パーティーが基本となる。ほかはNPC扱いとなってしまうので、1983年に公開された映画『里見八犬伝』が好きな人は、真田広之さんが演じる犬江親兵衛が主役候補でないことに愕然としたかもしれない。
さて、ゲームシステムは、敵の妖怪と戦ってレベルアップしていく王道のRPGだ。オリジナル要素といえるのが「りょうしん(良心)」の導入だろう。敵の妖怪にも善悪があるので、間違えて善の妖怪を倒してはならないのだ。良心が下がってしまうと、村人の対応やストーリーに影響が出てきてしまう。
だが、どの妖怪が善悪なのかがいっさい分からないのが難点だった。ちなみに良心がマイナスになるとストーリーが進行できなくなり、詰んでしまう可能性もあるぞ。
そして面白かったのが、バトルシーンのセリフだ。敵味方ともに固有のセリフがあるのだが、たとえば主人公の信乃に対して敵は「おろかものめ!」と吐き捨てながら攻撃してくる。妖怪にそんなこと言われたら恐怖でしかないのだが……。
あと、敵キャラも個性豊かだったで良かった。「ふうじん」や「らいじん」は恐ろしく、「ふなむし」は気持ち悪さ全開だった。そしてラスボスの「たまずさ」からの「しゅらまじん」は迫力満点のラストバトルだったな。
さて、源平合戦や真田十勇士、南総里見八犬伝といった物語は歴史好きにはたまらないものといえる。筆者も歴史好きなだけに、また現代のゲームシステムでリメイクしてほしいなあと思ってしまうな。