■「よおし、この女はおまえたちにくれてやる。好きにしろッ!」

 最後に紹介するのが、『タクティクスオウガ』の悪役・オズだ。ガリウス魔導院を支えるグラシャス一族という名門貴族の一員であるオズは、士官学校を首席で卒業したエリート。暗黒騎士団ロスローリアンの部隊指揮官の一人である。

 オズは非常にサディスティックであり、その言動も非道そのもの。拷問では鼻や耳を切り落とすなど死なない程度に痛めつけるのが好きだったり、市民の女性を遊びの感覚で殺したり……。そして、そうした非道な拷問を「趣味」だというのだ。まさに鬼畜。

 そんなオズの残酷さがわかる有名なシーンが、Lルートで捕えたゲリラのリーダー・セリエとのシーンだ。オズの部下がセリエを生け捕りにし、オズのもとにやってくる。セリエは気丈に振る舞い、自分を殺せとオズに言い放つのだが「死に損ないの分際で命令するつもりか!」と一蹴。そして、「よおし、この女はおまえたちにくれてやる。好きにしろッ!」と兵士たちに伝え、兵士たちも「さっすが~、オズ様は話がわかるッ!」と歓喜したのだ。じりじりと近寄る兵士たちを前に、「さわらないで…お願い、やめて…」と懇願するセリエ(PSP版ではセリフが変更されている)。そのまま画面が暗転し、セリエの絶望に満ちた悲鳴とともにこのシーンが終わる。

『タクティクスオウガ』は、選択肢により物語が変化していくマルチエンディングのゲームであるため、ルートによってオズの対応も異なってくる。しかし、Nルート、Cルートにおいても、オズのサディストぶりが遺憾なく発揮されており、知れば知るほど最悪な性格の持ち主であることがわかるだろう。

 スーパーファミコンの時代に、最悪な絶望行為を行ったRPGの悪役たちと、彼らが行った許すことができない悪行について紹介した。

 どの悪役も非常に残酷さが際立ち、物語の中でも絶対悪として君臨しているといえるだろう。筆者も、何度プレイしても嫌悪感を抱いてしまうが、紹介した作品はどれも好きな作品であるため、やはり彼らの果たす役割が大きいのかもしれない。また時間ができたら、会いたくはない彼らに会うために、再度プレイしてみようかと悩んでしまう。

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