ゲームの中でも、特にRPGにおいて悪役は欠かせない存在だ。主人公たちと対峙するという役割上、憎たらしさや冷酷さといったキャラクター性をもっていることが多い。特にスーパーファミコンの時代には、今よりもよりストレートな表現が使われていたために「こいつだけは許せない……」と思ってしまう悪役がいたプレイヤーもいるだろう。
そこで、今回は、スーパーファミコンの時代に、最悪な絶望行為を行ったRPGの悪役たちを紹介する。
■「何百もの悲鳴がかなでるオーケストラは、さぞ聞きごたえがあるだろう」
まずは『ファイナルファンタジー6』に登場した悪役・ケフカだ。彼はガストラ帝国の人造魔導士で、物語序盤では幼稚な人格と道化師の格好から小悪党のようなポジションとして登場する。しかし徐々に残虐性があらわになっていき、最終的にはラスボスとして主人公たちの前に立ちはだかる。
放火に洗脳など、ケフカが行った悪行は非常に胸糞悪いものが多い。特に、籠城しているドマ国に対しての行為が卑劣極まりない。ケフカは触れただけで即死するほどの猛毒を用意し、それをドマの人々が生活の水源にしている川に流し込み、味方の兵士ともどもドマ城内の人々を虐殺したのだ。その際の「ヒッヒッ…何百もの悲鳴がかなでるオーケストラは、さぞ聞きごたえがあるだろう。ヒッヒッ…」という言葉からも、ケフカが殺しを楽しんでいることがうかがえる。
自身の目的のためにはどんな手段も使い、自らを神と名乗るようになる姿は、冷酷かつ残酷そのものといえるだろう。
実は、ケフカは初期の人造魔導士であるため、魔導注入の副作用により、精神が崩壊してしまっているという背景をもっている。そのため、「ぼくちん」「わたし」「俺様」など複数の一人称をもち、自我が不安定な様子が描かれている。
この背景がケフカという人物に深みを与えているが、作中ほとんどその描写がないことで、ケフカという悪役がよりおぞましい存在として成り立ったのかもしれない。
■「この子供の命がおしくなければ、ぞんぶんに戦いなさい。でもこの子供のたましいは、永遠に地獄をさまようことになるでしょう」
次に紹介するのは、スーファミ世代の人であればほとんどの人が彼の行為にショックを受けたであろう『ドラゴンクエスト5』の悪役・ゲマだ。物語の中ボスであるが、外道すぎる悪行ゆえにラスボス以上の存在感を放っている。
世界的な悪行としては、光の教団の幹部として世界各地からやってきた信者や、勇者の復活を阻止するために拉致してきた子どもたちを劣悪な環境で奴隷として働かせたことだ。
しかしプレイヤーにとって許せない行為は、やはり卑怯な手を使って主人公の父・パパスをなぶり殺しにしたことだろう。少年だった主人公を人質に取り、手下のジャミとゴンズを使って瀕死の状態になるまで痛めつけた所業は、まさに鬼畜。最終的には主人公の目の前で焼き殺してしまったのだ。
『ドラクエ』シリーズ史上、最も過酷な幼少期を送ったと言われる『ドラクエ5』の主人公。その原因をつくった相手こそゲマであるために、多くのプレイヤーの印象に残っている悪役ではないだろうか。