これまで第3期までが放送されているテレビアニメ『かぐや様は告らせたい』シリーズ。この冬、その最新作『かぐや様は告らせたい-ファーストキッスは終わらない-』がテレビ放送に先駆けて劇場にて特別上映。第3期の最終話でついにファーストキスを交わしたかぐやと白銀のその後を描いた本作について、ヒロイン3人を演じる古賀葵、小原好美、富田美憂のキャスト座談会をお届けします。
■求められる技量がすごく高い現場
ーー第3期の放送から約半年が経っての新作となります。制作が決まったときのお気持ちはいかがでしたか。
古賀 また動いているかぐやたちが見られるんだと思い、嬉しかったです。今回のエピソードは第3期『ウルトラロマンティック』から続くふたりの関係性にある種の決着がつくお話で、私自身も個人的にすごく好きなエピソードなんです。だからこそ、収録の際はいつもとは違う緊張感もありました。
小原 2019年の第1期放送に始まって、こんなに短いスパンで続編が作られる作品ってなかなかないですよね。純粋に嬉しい気持ちと同時に、あらためてすごい作品に参加させていただいているんだなと思って身が引き締まる気がします。とくに今回のお話はかぐやと会長(白銀)にとって大切な出来事が描かれているので、キャストもスタッフも一丸となって、より気合いが入っていた気がします。
富田 私は第2期からの途中参加ということもあり、これで終わっちゃうのは寂しいなって思っていたので、新作が作られることを聞いたときにはすごく嬉しかったです。個人的にもすごくお気に入りのエピソードなので、かなりテンション上がりましたね。
ーーこれまでのシリーズを通じて、ご自身のキャラクターを演じていて楽しいと感じるのはどんなところですか。
小原 私が演じる藤原は、純粋に演じていてとても楽しいですね。どんなシーンでも彼女がいるだけで明るい気持ちにさせてくれますし、演じることで私自身も元気をもらっているような気がします。ただ一方で、彼女には内心を吐露するモノローグがないので、そこはちょっと難しいところでもあるのかなと感じています。
富田 そうか。藤原だけなぜかモノローグがないんですよね。
小原 そうなの。だから正直なところ、いまだに謎な部分もあるんです。そこはいつも「内心どんなことを考えているんだろう?」って想像することで補っている感じです。
古賀 いちばん単純そうだけど、実はそうでもないんですよね。
小原 うん。藤原は周りの空気を読まない子に思われがちですけど、私的には周りのことをすごく見ている子だと思っていて。それを感じたことで、ようやく藤原のことを「人」として見れるようになった気がします(笑)。
古賀 それまでは…?
小原 いや「人」なんだけど(笑)。よりしっかりと向き合うことができた感じだね。
富田 なるほど。
小原 あとこれは藤原に限らずですけど、そもそも『かぐや様』って求められる技量がすごく高いですし、こちらの引き出しもたくさん求められるんですよね。
古賀 ギャグとシリアスが交錯しますからね。
小原 そうそう。とくに藤原はギャグシーンのときのギアの入り方がものすごくて、毎回どうやったら彼女として面白く成立させることができるんだろうかというのは悩みますし、収録前はいつも家で試行錯誤していて、それは今も変わりません。それも含めて楽しいんですけど。
富田 私が演じるミコは、生徒会の皆さんに振り回される役どころではあるんですけど、第3期ではちょびっとだけ心が動く瞬間があったりもして、彼女もどんどん成長しているんだなと感じています。
小原 ミコは変わったよね。
富田 そうなんです。第2期のときは生徒会室に入るたびに緊張していて、お芝居もわりと抑えめだったんですけど、第3期に入ると感情がどんどんと溢れるようになってきて。とくにギャグシーンの際の感情の振り幅は、それこそ藤原みたいに一気にギアが何段も上がるような感覚がありました。『かぐや様』はいろいろなシーンにパロディ的な演出を取り入れているんですけど、「ここまで寄せたら怒られるかな?」っていう芝居も「ギリOKです!」って言ってもらえるようになって(笑)。個人的にもストッパーを外して楽しめるようになりましたね。
古賀 私の場合、かぐやというキャラクターがあまりに自分とかけ離れていたので、最初はどうやって演じたらいいのか想像もつかなかったんですよね。お嬢様で、頭も良くて、クールで、自分をしっかりと持っているかぐやは、私の憧れそのものでもあったので、私もこんな風になりたいという気持ちを込めて演じていたんです。でもストーリーが進んでいくうちに、年相当の女の子らしい一面が次々と出てきて、「こんな私でも手を伸ばせば届くんじゃない?」って思うほどに共感できるキャラクターになりました。
富田 かぐやの中のいろいろな人格が出てきましたからね。
古賀 第1期の花火のエピソード(第11話、第12話「花火の音は聞こえない」)を経てそれが顕著になって、第2期では後輩たちとの絡みも増えたことでさらに心に変化が生まれたりもして。人間としても恋愛面でもすごく成長しているので、そういう部分は大切に演じられたらなと思っていますね。