■最強状態でスタートできる「パスワード」の数々

ドラゴンクエスト』シリーズに代表されるふっかつのじゅもん。これらの「最強パスワード」を知っている者も子どもたちのヒーローだった。

 最も有名なのは、『ドラゴンクエストII』の「もょもと」だろうか。「ゆうて いみや おうきむ こうほ りいゆ」から始まる復活の呪文を入力するとレベル48で莫大な所持金を持って、今で言う「強くてニューゲーム」状態で冒険をスタートすることができるという裏技だ。ちなみに「もょもと」とは、この裏技を使った際のローレシアの王子の名前だ。

 パスワードシステムの特徴であり面白いのは、友だちのデータも使えるということだろう。上手い人にパスワードを教えてもらえば、上手い人の進めた時点から始めることができるのだ。なおこの「ゆうて いみや おうきむ」は『ドラクエ』のスタッフである堀井雄二氏や鳥山明氏の名前をつなげ、最後に「ぺ」を27文字打つというもの。実に不思議な文字列だが、またたく間に日本中に伝わり、当時はまさに「呪文」のようなこの言葉を多くの子どもたちが暗記していた。

 似た例で言うと、ファミコン『桃太郎伝説』の最強パスワード「ふ」。これはパスワード入力画面で「ふ」と1文字だけ入力することで、レベル45(段)の状態からスタートできるというもの。現在では派生作品である『桃太郎電鉄』のほうが有名になってしまったが、ファミコン時代の名作RPGのひとつ『桃伝』。難易度が高めのため、クリアできなかったが、この「ふ」でラストダンジョンだけ攻略したという人も多かったのではないだろうか。

 いったいどこから入手した裏技情報なのか……。どこからともなくやってくるこれらの噂に、当時は心を躍らせたものだ。それはネットの無い時代ならではの楽しみ方だったと言えるだろう。

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