■全体的に対応がよそよそしい『ファイナルファンタジーX』より、ティーダ

『FF』の主人公からは、『ファイナルファンタジーX』の主人公・ティーダが有名かつ相応しいだろう。

 ブリッツボールのエースで、かなり明るい性格をしているティーダだが、『FF10』のストーリーは、彼の性格とは相反するように重いシナリオとなっている。実はティーダは祈り子の夢と幻光虫が結合した、夢のザナルカンドの存在。つまり幻光体であり、生きているかすら怪しい状態なのである。

 ティーダは、幼い頃には頻繁に、父親のジェクトに泣かされていた。ジェクトからしたら、愛情表現が苦手なことからくるディスコミュニケーションなのだが、ティーダ視点では、幼少時代に、あまりいい思い出は無いようだ。

 メインストーリーであるスピラへ到着後は、さまざまな人と関わり、また、多くの仲間と共に旅に出ることになるが、ザナルカンドから来たという、普通に考えたら有り得ない身の上なので、序盤は、出会う人のティーダに対する反応はよそよそしいものとなっている。

 旅のパーティーの中では名前を呼ばれることは無く、「おまえ」や「あんた」と呼ばれる。またティーダの名前を任意のものに変更できるうえボイス機能があるため、システム上仕方がないことなのだが、ヒロインであるユウナからも「ティーダ」と呼ばれずに「キミ」と呼ばれてしまう。他のキャラたちが名前で呼びあっている中、どうしても疎外感を感じてしまうのだ。

 メインストーリーの最後では、シン、そしてシンが発生する原因のエボン=ジュを倒して、世界に平穏がもたらされるのだが、夢を存在させる力の根源であるエボン=ジュを倒したので、ティーダも消えることとなった。

『ファイナルファンタジーX-2』で復活を果たすものの、その後の小説版ではさらに悲劇的、衝撃的な死を遂げることとなってしまった。が、それを度外視して『FF10』の中でだけ考えても、他シリーズの主人公と比べて報われない最期だったのではないだろうか。

 

 ストーリーに多く登場し、キャラクターへの愛着が沸いたところで、最後に亡くなってしまうという悲劇的な展開。かわいそうなキャラは数多くいるものの、こういったキャラの最後は悲劇的で、とても衝撃的なものだ。

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