■PS版『ドラクエ4』での「第6章」の追加

 かなり意見が分かれることでおなじみのリメイク版『ドラクエ4』の「第6章」。私自身もこれに関しては思うことがあり、ふたまん+で一度感想を書かせていただいたことがあります。

 大きな争点になるのが「ピサロの加入」について。

 ファミコン版では、当初「デスピサロを○○ターン以内に倒せば仲間にできる」といったガセネタが話題になり、それがヒントになったのかどうか定かではありませんが、リメイク版で追加された新章「第6章」では、実はピサロを操っていた真の巨悪であるエビルプリーストを討伐せんとして、ピサロが主人公たちと共闘することになりました。

 これに対しては、やはり主人公目線で考えると許せないというか……「おまえ、シンシア殺したじゃねえか」ということがずっと心にひっかかります。

 何より悪者だけど、それまで「人間側への憎しみ」をしっかり描いたことがピサロの魅力をより引き立てていましたし、戦うときの「おまえの気持ちも分かるけど、だからってこんなことして何になるんだ!!」というあの熱い気持ちもストーリーを盛り上げてました。にもかかわらず、「いや、なんかもっと悪い奴いるし、ロザリーを生き返らせてくれたのマジありがとう」みたいな感じでスッと仲間に入られるとモヤモヤしてしまいますよね。

 ただ、これもストーリーの流れやドラクエ4のテーマ的にどうなの? という点はあっても、「ピサロが仲間になる」というロマンのほうがプレイヤーとしてワクワクしたというのは正直めちゃくちゃあります。仲間になったピサロの頼もしさとカッコよさは、筆舌つくしがたいものがあります。今でもそれだけのためにリメイク版をプレイしたいと思うこともあります。

 この評価は視点を変えているので、もしこの2つの考え方の人が議論しても一生交わることはないでしょう。それでも議論したくなってしまうほど人を熱くさせるのですから、やはりこの「第6章」はそれだけ魅力的だったといえるのではないでしょうか。

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