■つい作ってみたくなる簡単料理のオンパレード『花のズボラ飯』
『孤独のグルメ』と同じく原作は久住昌之氏、作画・水沢悦子氏による『花のズボラ飯』(秋田書店)も、魅惑的な飯テロ漫画だ。2012年10月より倉科カナ主演でドラマ化もされた本作は、単身赴任中の夫を持つ主婦、駒沢花が毎日の献立を“ズボラ飯”で乗り切るという単純明快なストーリー。
明るく素直で、自分の欲望に忠実な花。食べたら太る。だから、ダイエットを頑張る。でも、食の誘惑には簡単に負ける……そんな“あるある”を、主人公の花を通して追体験できるのがこの作品の一番の魅力だと思う。
手が込んでいるわけでもなく、“映え”料理でもないが、「これなら自分にもできる」と思わせてくれる花の簡単ズボラ飯。筆者が何度もリピートしているのは、原作2巻に収録されている「ミョウガキャベツ」。キャベツをさっと茹で、そこに刻んだミョウガと鰹節を混ぜて上からポン酢を回しかけるだけという簡単レシピなのだが、手軽で実に美味しい。
また『花のズボラ飯』では、ご飯を食べる花の描写が妙になまめかしいのも見どころの一つ。イラストはほのぼのとしているのに、花がご飯を掻っ込む姿や、熱々の食事に頬を蒸気させて“はふはふ”と食べる息遣いがどこか色っぽい。「食」と「色」は切っても切り離せぬものだと、実感してしまう。