■「コロナ禍で触れ合いがなくなり、誰かとお話したいなと…」

 国生さんは1966年、鹿児島県鹿屋市生まれ。海上自衛官だった父の転勤で、幼少のころから長崎県佐世保市や広島県呉市などに移り住んだ。小説のタイトルやストーリーには「父を通して国を守る人たちを見てきたので、知ってもらうきっかけになれば」(国生さん)との思いも込めたそうだ。

 高校卒業後の1985年4月、おニャン子クラブの会員番号8番としてデビュー。翌86年にはシングル曲「バレンタイン・キッス」でソロデビューを果たした。その後はトップアイドルへの階段を駆け上る。主演ドラマ「キスより簡単」、主演映画は「いとしのエリー」。テレビや雑誌への出演は枚挙にいとまがない。

 一方、プライベートは波瀾万丈だった。2度の結婚と離婚。2015年には、お笑い芸人との真剣交際が週刊誌の見出しを飾ったが、翌年には破局が報じられた。「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)などバラエティー番組への出演で、奔放キャラとしてもおなじみの国生さんだが、ここにきて大きな“心境の変化”が訪れたという。

「ちょうど小説を書き始める直前に世の中がコロナ禍になり、急に人との触れ合いがなくなって、お仕事もちょっと先送りになったりして……。外出自粛の中、おしゃべりをしたり、ご飯を食べに行く機会がなくなった時に、すごくこう、誰かとお話ししたいなと思って……」

 そんな時、国生さんは思い描いていた小説のアイデアとともに、ふと気づいたのだという。

「私はこれまでずっと周りの人に恵まれてきたんだなって思ったんです。いつも相談に乗ってくれたり、助言をくれたり。おニャン子の時はフジテレビの方々に。ロンハーでは(田村)淳さんに導いてもらった。小説もそう。周囲の人のおかげで始められたことです」

 そして国生さん、「55歳になって気力も体力もちょうどいい具合に萎えてきた」と、こう続けた。

「若いころは周りにあらがったり拒否したり。人を羨ましがって、人を求めて生きてきました。でもいざ自分の視点が変わったら、大事な存在は実は『前からあったんだ』って、そんなふうに思うようになったんです」

「作家・國生さゆり」誕生の転機と言っていいだろう。

 最終話のあとがきで「エピローグを一章、書こうと思っています」と告げた国生さん。取材中には新作に向けての意気込みも嬉しそうに語ってくれた。

 小説家という新天地に立った国生さんの今後がますます楽しみだ。

■国生さゆり/國生さゆり
Twitter:@sayuri5940
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