■ガンダム初のファミコンソフト
当時一番ハマっていたロボットアニメと言っても過言ではない『機動戦士Zガンダム』をモチーフにしたゲームソフト『機動戦士Zガンダム ホットスクランブル』が1986年にバンダイから発売されます。
ファミコン初のガンダム作品、しかも大好きな『Zガンダム』ということで飛びつきたい気持ちはありましたが、お小遣いに余裕はなかったのでハズレは絶対に引きたくない……慎重にならざるをえません。しかし、デパートのおもちゃ売り場で流れるデモ画面を見て、衝撃を受けます。
なじみ深いアニメ前期のOP主題歌『Z・刻をこえて』のBGMとともに、『Zガンダム』に登場する機体の画像とスペックが次々紹介されるタイトル画面。迫りくる機体をドット絵で表現したグラフィックは、当時の自分の目にはとても美しく映りました。
一切の迷いが消え、満を持して購入した『ホットスクランブル』。しかし、その鬼のような難易度の高さに泣かされることになります。このゲームは『スペースハリアー』のような3Dのステージと、『テグザー』のような2Dステージを交互に攻略していく内容。ステージを重ねるごとにその砲火は激しくなり、ビームを撃ちながら敵機の猛攻から逃げまどうゲームと化します。
序盤は良かったのですが、ステージが進むにつれて当時子どもだった自分には厳しすぎる鬼のような難易度。ですが意外とそこまで不満には思いませんでした。当時ファミコンのゲームが難しいのは当たり前という認識でしたし。
それ以上にステージ中に登場する、バリエーションに富んだ敵機体のグラフィックに感激。超高速で迫りくるティターンズやアクシズの機体のスピード感はすさまじく、何度もやられながら「ファミコンでこんなゲーム作れるんだ……」と感動した記憶があります。
さらにステージ中に流れる『水の星へ愛をこめて』や、ゲームオーバー時の『星空のBelieve』といった主題歌をアレンジしたBGMも素晴らしく、『Z』好きとしてはかなり満足の行くクオリティ。当時は気づきませんでしたが、ガンダム好きならニール・セダカの楽曲がゲーム音楽に使用されることがいかにすごいことか、お分かりいただけるのではないでしょうか。
あと友だちに見せてもらったゲームのエンディングも、アニメEDの「走るファと弾むハロ」の映像をちゃんとドット絵アニメで再現していて、うれしかったですね。
ちなみに本作が『ゼビウス』や『ドルアーガの塔』などで知られるゲームクリエイター・遠藤雅伸氏が手がけた作品と認識したのは、かなり後のことでした。なお遠藤氏が本来作りたかった「ファイナルバージョン」と呼ばれるソフト(限定1000本だけプレゼントされたもの)も存在するので一度は遊んでみたいのですが、残念ながら桁違いのプレミアソフトとなっております……。