■初見のインパクトに惑わされた?

 そんな期待が高まる中、『マクロス』初プレイ時の強烈な印象が忘れられません。デフォルメされた可愛いリン・ミンメイがトコトコ歩き「ジャーン!」とドラを鳴らす演出。そこから流れ出す軽快なBGMは、アニメでおなじみ飯島真理さんの『小白竜(シャオ・パイ・ロン)』のアレンジです。

ドラを鳴らすミンメイに心も揺れた!

 さらに主役機のバルキリー(VFー1S)も、アニメと同様に“ファイター”“ガウォーク”“バトロイド”の三段変形をゲーム内で再現。自機のタイプを随時切り替えることで性能が変わるシューティングゲームは新鮮で、まさに自分が心に思い描いていた通りの『マクロス』のゲームが始まった……と思いました。そのときは。

 ファミコンの『マクロス』は横スクロールタイプのシューティングゲームで、ステージ前半はふつうに弾をかわして敵を撃破し、後半はブリタイ艦の内部に侵入。中枢のコアのようなところを破壊すると1面クリアという内容です。

 しかし、これを1時間も遊ぶと、想像以上に単調なゲーム性であることにイヤでも気づきます。しかも最大の特徴である三段変形はガウォーク以外の使い勝手が悪く、むしろガウォークだけでクリアが可能。

こいつだけでいいんじゃない? と思ったガウォーク形態

 BGMも、いきなり挿入歌の『小白竜』が流れたので期待しましたが、どれだけ先に進んでも延々と『小白竜』が流れるのみ。最初に挿入歌が来たら、OP主題歌の『マクロス』とかED曲の『ランナー』とか、劇場版の『愛・おぼえていますか』とかも流れると思うじゃないですか……。

 とはいえ当時のオーソドックスなシューティングゲームより画期的な要素があったのは間違いなく、もちろん“クソゲー”と呼ぶほどダメなゲーム内容ではありません。ただ、純粋に自分の心の中の期待値が高すぎただけなのです。それでもときおりファミコンのシンプルな音源が奏でる『小白竜』が聴きたくなり、今でも定期的にプレイしてしまうゲームです。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4