■真の意味で能力優先なのは…?

 そうした面からいうと、鬼舞辻無惨のスカウト方針のほうが寛大……というか、能力を優先する主義なのかもしれない。そうでなければ「日の呼吸」は使えなかったとはいえ、無惨が誰よりも恐れていた継国縁壱の血縁者である双子の兄を鬼に選ぶだろうか。

 それに『鬼滅の刃』の公式ファンブック「鬼殺隊見聞録」には、鬼舞辻無惨は上弦の弐“童磨”のことが「あまり好きじゃない」と書かれている。絶対君主的な無惨であれば、気に入らない部下は平気で殺しそうなものだが、有能な童磨を“上弦の弐”という重要なポストにしっかり置いていた。

 鬼となった者にかけられた“呪い”に絶対の自信があり、裏切られる心配はないと確信していたのかは分からないが、無惨も認めるほど優秀な人材であれば、多少好かれていなくても問題はないのかもしれない。このあたりは無惨がフリーザ以上に実際の能力を最優先に考慮し、公私混同していないと感じた部分だ。


 以上のように、ジャンプを代表する2大悪役を上司として見た場合の比較をしてみたが、受け取り方は人それぞれだろう。個人的には、どうしても選ぶならフリーザの下であまり目立つことなく、堅実かつ忠実に働くのが無難かなぁ……という結論に至る。

 もし自分の能力に絶対の自信があって上昇志向の強い人であれば、鬼の血でさらに能力を底上げしてもらえる上に重要ポストが狙える、鬼舞辻無惨を上司に持ちたいと思うのだろうか……。

 今回のフリーザと無惨をピックアップした理由である「少年ジャンプに登場した印象に残る極悪非道キャラ」というアンケートでは、ほかにも多種多様な“悪役”がランクインしていた。自分が部下になるとしたら別の悪役キャラのほうがいい、という意見も当然あるだろう。とはいえ「どんな悪役も上司にするのは嫌」というのが、大多数の一番率直な意見なのかもしれない。

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