■優秀な人材をスカウティング?

 有能な人材を発掘して部下としてスカウトするのは、鬼舞辻無惨とフリーザに共通した部分といえる。無惨は自らの血を分け与えることで人間を鬼にして、自分の目的遂行のために働かせていた。

 これは宇宙規模での地上げ屋的な行為を行っていたフリーザも同様で、優秀な人材を勧誘しては積極的に陣営に加えている。ギニュー特戦隊を始め、多くの部下たちはフリーザのことを敬うような言動があったので、おそらく待遇も悪くなかったと思われる。

 それにフリーザは、孫悟空との戦闘中に「ボクの下で働いてみる気はないか?」と声をかける場面がある。激しく敵対した相手の強さを認め、部下に勧誘するシーンを見て「心の広い、良い上司だ」と感じた人もいるかもしれない。

 しかし、その言葉は本当に純粋なものだったのだろうか。私の見解は少々異なる。なぜならフリーザは「超サイヤ人」の存在を何より危険視していたためだ。実際に惑星ベジータを破壊し、ほとんどのサイヤ人を殺害したという過去がある。

 万が一、サイヤ人の悟空が超サイヤ人になって自分の力を上回ったら困る……フリーザの立場ならばそう考えるのが自然だ。だからこそ、あの悟空を勧誘したシーンは、単に余裕を見せつける意味で言ったか、あるいは後で隙を突いて倒そうという策謀を疑ってしまう。自分より強くなった悟空を、フリーザが部下として丁重に扱う姿がまったく想像できないのだ。

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