■軽いノリで不良ライフをエンジョイ!

 次に紹介するのは1988年~97年に『週刊少年サンデー』(小学館)で連載された、西森博之氏による『今日から俺は!!』。

 前述の『ビー・バップ・ハイスクール』をはじめとする不良漫画のメインストリームであるマガジン(講談社)系や『クローズ』に代表されるチャンピオン(秋田書店)系とは違って、王道からちょっと外れたコメディタッチの路線であったこともあり、コアな不良漫画ファンというよりライトな漫画好きのファン層を得た。

 主人公の三橋貴志は、不良漫画の典型である「ちっちゃな頃から悪ガキで」タイプではなく、中学まではごく平凡な一般人だったのが高1のときに転校をきっかけに不良デビュー。だが運動神経と瞬発力は抜群で、外見から「金髪の悪魔」と恐れられるように。強いだけでなく頭の回転が速く、計算高くずる賢いが仲間思いの一面も。

 一方の伊藤真司は、黒髪のツンツン頭がトレードマークで、スピードタイプの三橋とは対をなすパワータイプ。一対一での正々堂々とした勝負を好むため三橋と対立することもあるが、同じ転校デビューであったりと根っこの部分では共通する部分も多く無二の親友として行動をともにする。バトル描写よりも2人そろってバカ騒ぎするギャグパートの印象が強い名コンビだ。

 連載期間中にOVAと劇場版、Vシネが制作されたが、より広く知られるようになったのは連載開始から30年を経て2018年にTVドラマ化されてから。三橋貴志を賀来賢人、伊藤真司を伊藤健太郎が演じて大ブレイク、2020年には劇場版も公開されて大ヒットしたのは記憶に新しい。ちなみに、1994年の最初の劇場版では主演は役にちなんで芸名をつけた三橋貴志だったが、類似の例としては1987年の映画『湘南爆走族』で主人公・江口洋助役をこれがデビュー作だった江口洋介が演じたことが挙げられる(本名なのでこちらは偶然の一致)。

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