■全身の骨が砕ける、体液沸騰…激痛を伴う地獄フォーム

 最後に紹介するのは、2019~20年放送の『仮面ライダーゼロワン』の劇場版作品『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』に登場した「ヘルライジングホッパー」というフォーム。地上波では放送できないほどえげつない暴走フォームとして、映画館に足を運んだファンを戦慄させた。

 映画のネタバレのため詳細は伏せるが、そもそも変身アイテム「ヘルライズプログライズキー」は敵が世界を破壊するために製造したアイテムで、人間が使うことを想定して作られていない。

 主人公・飛電或人はこれを使って変身し、その力で無理やりヘルライズプログライズキーを破壊するつもりだった。そのため、最初から自滅するのが目的の「自害用フォーム」という点も、他のフォームとは一線を画している。

「攻撃するたびに骨が砕け、それが無理やり再生される」「ありとあらゆる体液が沸騰して全身に激痛が走る」「臨界反応を起こしたかのように大爆発を起こすが、変身は解除されず暴走も止まらない」「内部空間の或人の拳は血まみれで、喉が心配になるレベルのうめき声で叫び続ける」などなどその名の通り地獄のような痛みを伴うこのフォーム。或人役の高橋文哉スーツアクターを務めた縄田雄哉の演技力も相まって、多くの子どものトラウマになったこと間違いなしのフォームである。

 ちなみに、「骨折した腕が不気味に動いて無理やり治る」という演出があるが、これはCGではなく縄田の演技力によるものであり、アフレコ時に高橋を驚かせたそうだ。

 一見するとカッコいい仮面ライダーだが、戦いは決してきれいなものじゃない。そういうメッセージがこれまで登場した暴走フォームには込められているのかもしれない。

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