■「暴走=暴れる」の概念を壊したトラウマフォーム

 それまでの「暴走フォーム=叫びながら暴れる」というイメージを覆し、それ以上の恐ろしさを演出したトラウマフォームが、2017~18年の『仮面ライダービルド』に登場した「ハザードフォーム」。物語中盤から戦争が描かれるようになった『ビルド』の世界で、仮面ライダーは軍事兵器として扱われていたが、このフォームはまさに「殺戮兵器」と呼ぶにふさわしいフォームだった。

 変身ベルト「ビルドドライバー」に「ハザードトリガー」という装置を追加したことで生まれたハザードフォーム。このフォームでは、一定時間戦うことで変身者は意識を失い、機械的に無言で淡々とターゲットを殺害する完全なマシーンと成り果ててしまう。みぞおちやアゴ、首など急所を的確に狙い、第21話「ハザードは止まらない」では敵とはいえ人間が変身している怪人を殺害してしまうというシーンもあった。これにより主人公・桐生戦兎は心に傷を負い、廃人のようになってしまうが、このときに見せたげっそり老け込んだ演技は、当時の視聴者に衝撃を与えた。

 凶暴さをむき出しにして暴れる、というこれまでの暴走フォームと悪い意味で一線を画したハザードフォームはその後「フルフルラビットタンクボトル」を使うことで「ラビットラビットフォーム」と「タンクタンクフォーム」として安全に使用できるようにはなったが、ハザードトリガーそのものは最後まで危険な兵器として描写された。

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