■やり応え抜群!数少ないロクヨンRPG屈指の名作

『マリオストーリー』タイトル画面

 最後にご紹介するのは、ロクヨンRPGで最も思い出深い名作「マリオストーリー」です。ペーパーマリオRPGの初代作で、スーファミの大名作「スーパーマリオRPG」の次に発売されたマリオのRPG作品でもあります。“城ごと”ピーチ姫を連れ去ったクッパをマリオがやっつける、という王道なストーリーで初心者も楽しめるだけでなく、バッジシステムや料理など上級者も楽しく遊べる要素も多く、まさに家庭用ハードのRPGとして文句なしのクオリティを誇る名作です。

『マリオストーリー』より

 本作で登場したアカリンやレサレサといった仲間キャラに加え、章のボスを倒した後に挟まれるピーチ姫を操作して城内を探検するミニストーリーなども魅力的で、RPGとしての本筋だけでなく、ゲーム全体に漂うペーパーマリオ特有の世界観は本作以降のシリーズにも引き継がれています。

『マリオストーリー』より

 特にピーチ姫のケーキ作りイベントやクイズイベントは思い出深いです。素晴らしい遊び心だと思います。

 しかし、僕がマリオストーリーで最も記憶にこびりついているのは、かわいいかわいいレサレサお嬢さまでもなければ、ピーチ姫のイベントでも、いろいろメタいルイージの日記でもありません。それはゴツゴツ山に暮らす「コブロン」というそれはそれはかわいらしい生物です。

『マリオストーリー』よりコブロン

 彼は、ゴツゴツ山に暮らすモグラのような生物で「フニャニャー」と言いながら天気についておしゃべりしてくれます。無害です。そんなコブロンをあろうことかハンマーで殴ると「たんこぶ」というアイテムを落とします。このたんこぶは超有能な回復アイテムで、このコブロンを叩かない限り手に入らない貴重なものでもあります。

 そういった背景もあり、かわいそうなキャラだなと思いつつもコブロンを叩いてたんこぶを集めたプレイヤーも多いことでしょう。かくいう僕もそうです。

 あまり疑問に思うことなく、何度も訪れてハンマーで殴っていました。彼が自分の名前すらあいまいになるほど物忘れが激しくなってしまったとしても……。

コブロン…

 最初は「いい天気だね~!」と元気だったコブロンがだんだん「僕はコブロン……だったかな?」とゆっくり震えるように話すようになっていき、それは明らかにマリオがハンマーで殴っているからだとプレイヤーの誰もが確信するのですが、それでもなお彼を叩くとコブロンは死んでしまいます。

 通常の敵と同じように倒された演出とともに消えてしまい、その後二度と登場しなくなってしまうのです。

 勝手に無限に手に入るアイテムだ、と勘違いしてしまい命を軽んじてしまった結果のその後味の悪さと言ったらありません。「自分はなんてことをしてしまったんだ……」「そもそもたんこぶなんてこんなにいらないじゃないか……」という後悔でいっぱいになります。

 そんなコブロンはのちにシリーズではおなじみのキャラクターとなりました。出てくるたびに小学生の頃のあの気持ちを思い出し、素直に直視できないのですが、それだけ印象深いイベントだったということでもあるでしょう。おそらく一生忘れません。ごめんね、コブロン。

 コブロンの話を聞くとなんだか悲しい気持ちになりますが、ペーパーマリオならではの「紙だから罠から抜けられる」などの小ボケやブーブーを集めるガチャガチャ、どんどん強くなる中ボスかつ憎めないライバルキャラ・コワッパの存在など、基本的には明るくほのぼのした中にクスっと笑えるユーモアが散りばめられたまさに家庭用RPGで、RPG作品の少ないロクヨンソフトの中でもかなり高クオリティな作品であったと思います。

 以上3作品の個人的な思い出について語ってきました。みなさんの思い出に残っている作品はありましたか?

 オンラインで対戦できる環境では、もう僕らが小学生の頃のようにみんなで肩を寄せ合ってロクヨンで対戦するようなことはもうないのかもしれません。今思えば、とても貴重な体験をしていたんだなと改めてロクヨンと両親と遊んでくれた友人たちに感謝の気持ちでいっぱいになります。

 そんな思いを胸に今日はコブロンに会いに行きたいなと思います。

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