■これ、開けていいの…!? メモリー拡張パックといえば
まずはロクヨンを語る上で外せない「ドンキーコング64」について書いていこうと思います。なぜ外せないのかというと、「おい、“はがすな”って! やばいぜ!?」の全小学生をワクワクさせたあのCMでおなじみのメモリー拡張パックが導入された作品だからです。
ロクヨンのソフト挿入口の前にあるフタをパカッとあけると、そこには「はがさないでください」と書いてあり、なにやら黒い物体が入っていました。
当時の僕は「はがすなと言われるとはがしたくなる」、その甘美な誘惑は非常ボタンのそれのように、初めて目にしたときからずっとはがしたいと思ってきましたが、もしはがして壊れてしまったら親に怒られる、もうロクヨンができなくなるという思いでグッとこらえていました。
ところが、公式のCMにて少年たちがペリペリとはがしている……。それだけで当時の僕のクリスマスプレゼントはドンキー64一択となりました。
ゲーム自体はというと、OPのモンキーラップを見たときから「ああ、このゲームはタダモノじゃないな」と思わせる何かが詰まっており、当時の僕には難易度が高く感じる部分もありましたが、スーファミのドンキーコングシリーズを遊んできた人間からすると、ドンキークルーたちが世界を自由に走り回りバナナを集めているだけで「なんて面白いんだ!」と感動していました。
ステージクリアはなかなか難しかったですが、バナナフェアリーを見つけて撮影したり、DKと書かれた盛り上がっている土を探したりなどアイテム収集に奔走したのをよく覚えています。
ステージクリアが難しかった大きな理由として、ちょっと不気味で怖い雰囲気がそこかしこにあったことも挙げられます。(さすがレア社といったところでしょうか)
ゲームをやめるを選ぶたびにキングクルールのドアップからの大きな笑い声を聞き、島が破壊されてしまうバッドエンドを見せられるのもなかなか苦しかったです。今見ると、「なんでこの演出にビビってたんだ……?」と思えるようなものでしたが、ゲームでバッドエンドを見る機会はあまりなく、ビビリだった僕にとってそれは恐怖以外の何物でもなかったのでしょう。
なので、結局大人になるまでストーリークリアはできませんでしたが、ミニゲームの「コングバトル」で友達と戦うのは非常に盛り上がりました。どちらかというとコングバトルをメインで遊んでいたと思います。
回復アイテムのスイカを禁止したり、みんなでチートキャラの「クラッシャ」を使ってみたりと自分たちでバランス調整をしながら遊びました。当時、ゲームが好きな近所の友だちが多かったのも恵まれた環境だったなと思います。
3Dグラフィックでワールドが格段に広がり、アクションゲームとして大幅に進化を遂げた上にドンキーコング=1人用ゲームというイメージからも脱却して見せた本作は間違いなくシリーズ屈指の名作でしょう。大人になった今プレイすると当時と違った印象を受けるかもしれません。全然怖くないですよ。