■完全3Dグラフィックとなった「8」
続いて、2004年11月27日にPS2用ソフトとして発売された『ドラゴンクエスト8 空と海と大地と呪われし姫君』。
本作はシリーズで初めて完全3Dグラフィックが採用され、移動時やムービーだけでなく戦闘も敵と味方キャラクターがそれぞれ攻撃したり呪文を唱えたりするたびにアクションを行う様子も描かれたことで、映像作品としても迫力が増しました。
発売前にこういった情報が明らかにされるたび、本来のドラクエらしさが失われるのではないかといった3D化を不安視する声も上がりましたが、ふたを開ければ「8が一番好き」というプレイヤーも多くいるほど高クオリティの作品となりました。
初めから馬車をひいている主人公ですが、PS2版では最大4人パーティしか組めず、入れ替えながら戦うといったことができません。
しかし、パーティ編成がアレンジできない分、プレイヤーごとに個性が出るように採用されたのがスキルシステムです。
勇者タイプの主人公、前衛キャラのヤンガス、魔法使いのゼシカ、回復役のククールという4人が、それぞれに武器の種類ごとにスキルを割り振ることができ、装備する武器によってそのスキルの恩恵を受けることができるのがスキルシステム。これによって「次は剣じゃなくてヤリを鍛えよう」とか「あえて格闘スキルに振って素手でクリアしてみよう」といったやり込みが可能となりました。
こうしたこれまでにないチャレンジがふんだんに詰まった独自性が本作の大きな特徴で、ここからドラクエが大きく進化していったと言えるでしょう。
道化師ドルマゲスによって城を滅ぼされ、怪物の姿に変えられてしまったトロデーン城主のトロデ王と、馬の姿に変えられたミーティア姫とともに、宿敵ドルマゲスを探す旅をするトロデーン城の兵士・主人公の物語。
ドルマゲスは各地で七賢者の子孫を殺していき、トロデーン城から奪い去った杖の封印を解くことが目的でした。
その杖には暗黒神ラプソーンの魂が封じられており、最終的には封じられていた肉体との融合を果たし、ラスボスとして主人公たちの前に立ちはだかってきますが、物語の都合上、ドルマゲスのほうが印象深いのが正直なところですね。ラスボスなのにわりと存在感は薄いです。
それでもシナリオ全体としてはサブタイトルの「空と海と大地と呪われし姫君」というものに恥じないほど壮大で様々な展開も待ち受けているので、万人におすすめできる作品です。
神鳥に乗って空を飛び、船で世界を渡り。キラーパンサーに乗って大地を駆け回り、姫たちの呪いを解いていく。どんな呪いもはね飛ばす主人公の正体とは。
ここまでネタバレしまくってきましたが、ここだけはクリア後のお楽しみとしておきましょう。