■恐怖を感じさせる見事なダンジョン演出
『ドラクエ1』のダンジョンは、入ると中は真っ暗闇。アイテムの「たいまつ」や呪文の「レミーラ」を使って、主人公の周囲を明るく照らす(それでも画面全体は見えない)という仕組みです。
中には完全にマップを頭に叩きこみ、暗闇状態のままダンジョンを踏破するツワモノもいましたが、通常は「たいまつ」を用意したり、「レミーラ」を使わないと進むことが困難でした。しかもレミーラの明かりは次第に小さくなり、やがて消えてしまうという仕様です。
この要素は、たしかにプレイヤーからすると面倒ですし、その後のシリーズでは見なくなりました。ですが個人的には未知のエリアを探索している心細い感じや、恐怖心をあおる演出としてけっこう好きな部分だったりします。また、ダンジョンの階層が深くなるにつれてBGMの音程が低くなり、テンポがゆっくりになっていくのもすごく不気味で、とても気に入っていました。
■スタート地点から見えるラストダンジョン
それから『ドラクエ1』は、ワールドマップにも一工夫あったのを覚えているでしょうか。ゲームのスタート地点であるラダトーム城、そのすぐ隣にはラダトームの町があり、海に面した立地です。そして海を挟んだ対岸の島には別のお城が見えるのですが、実はこれがラスボスの竜王がいる城でした。
もちろん最初はそんなことを知る由もなく、「あの場所にはどうやって行くんだろう」とぼんやり考えながら、行ける場所から進んでいくことになるのですが、いきなりスタート地点からラスボスのお城が見えているという演出は正直ちょっとオシャレに感じましたね。
『ドラクエ』シリーズでは、キャラクターの秀逸なセリフ回しなど堀井雄二氏らしい抜群のセンスを随所で感じることができますが、こうした最後に謎が解けるしかけを冒頭に用意しておくあたりも、すごくステキな演出だと思います。