ファミコン『マイクタイソン・パンチアウト!!』は、タイソンの「最後の輝き」を切り取った名作だった

■恐るべき高速パンチ

『パンチアウト!!』が制作された１９８７年、タイソンはＷＢＡ・ＷＢＣ・ＩＢＦの３王座を統一していた。

　最重量級のヘビー級で、３本のベルトを我が物にしてしまったタイソン。誰がどう見ても、世界最強の男はタイソンである。『パンチアウト!!』にもそれが反映された。

　ラスボスとして登場するタイソンは、それまでの対戦相手キャラが雑魚に思えるほどのパンチを繰り出して主人公キャラのリトル・マックを窮地に追いやる。そもそも、リトル・マックはタイソンと比べてもだいぶ小さな身体で（タイソンはヘビー級では小柄な選手）、出る階級を間違えているのでは……とも思えてしまうが、タイソンがとんでもなく強いことに変わりはない。

　リトル・マックのかえる跳びのようなパンチがタイソンに当たる。が、タイソンはとんでもない威力のアッパーを高速で繰り出してくる。これを食らったら最後、リングの上で大の字だ。こんなのに勝てるわけないだろ！　とテレビの前で叫んだ経験のある人は少なくないはずだ。

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