『ベースボール』や『ゴルフ』など、ファミコンの初期の頃から2人で腕前を競い合う対戦ゲームは存在。さらに『マリオブラザーズ』や『アイスクライマー』、『バルーンファイト』のように、本来は2人同時プレイで協力するゲームながら相手を蹴落とす「殺し合い」という遊び方も生まれました。最近でも対戦格闘ゲームやMOBA、バトロワゲームなど勝敗を競う対戦ゲームが人気なのは、人類が争いから逃れられない宿命を背負っているからなのかもしれません。
ですが、それらに負けない対戦ゲームが、ファミコンブームの真っ只中に誕生していたことをご存知でしょうか。その名は『スパイvsスパイ(スパイ アンド スパイ)』(ケムコ)。ちょうど今から35年前の1986年4月26日に“友情破壊ゲーム”として知られるこのソフトは発売されました。
もともと『スパイvsスパイ』はファミコンオリジナルのゲームではなく、アメリカのファーストスターソフトウェアがパソコンで発売したタイトルの移植作。基本的にゲーム内容は同じですが、ゲームの説明書に書かれたストーリーはなぜかブラックなネタが満載。
ゲーム界の大元締「ジンテンドウ」が「新型のディスクシステム」の開発に成功。ゲームメーカーのケムコとトムコは、それぞれスパイを送りこんでその設計図を盗んでくるというストーリーになっています。ぶっ飛んだ説明書でおなじみのテンゲンのメガドライブソフトの説明書にも匹敵する、シュールなブラックジョークに思わずニヤリとさせられますね。