■口伝えで情報交換していた20年前

 自分のネットナビ(ロックマン)を操作して、相手のナビを撃退していく感覚はエグゼならではのもので、自分のチップ戦略がうまくハマってバスティングレベルSをもらったときの爽快感は格別です。そうした体験の積み重ねが「現実世界でも自分のネットナビがほしい!」という欲望につながったのではないかなと思います。

 エグゼの「高速セーブ」も素晴らしいポイントで、当時は特にありがたみを感じていませんでしたが、今プレイしていると「え、もうセーブできたの!?」というスピードでセーブできます。ボタン押した瞬間セーブ完了、くらいのイメージです。なので、ヒグレヤでチップトレーダーを使用して強力なチップを入手しまくるときは非常に重宝しました。

 子どものころは裏ワザや攻略法などをネットで調べるという文化が一切なかったので、口伝えで友だち同士で情報交換をすることが多かったのですが、僕が「いらないチップを10枚入れてトレードするやつでブルースのV3集めたよ~」と自慢して、「え、どうやったの!? 教えて!」と少しだけ人気者になったこともありました。今の子どもたちはそうした会話もなくなってきているのかなと思うと、どこかさみしい気持ちにもなりますね。

 友だち同士の通信対戦もコンピューター戦とは違う緊張感があり、負けたときは悔しすぎて「チップの引きが悪かった」と同じ言い訳を多用しつつ、泣くのを我慢していました。

 その後、アニメや漫画にもなり、新しいロックマンシリーズとして確固とした人気を獲得しました。

「初めからアニメ化のために作っていたのでは」と思うくらい個性豊かなキャラクターたちや物語も、『ロックマン』とは違う新たな客層を獲得したポイントではあると思いますし、プレイされた経験のある方は思い入れのあるキャラクターもいるのではないでしょうか。

 ちなみに僕は、『ロックマン』でも主人公よりもゼロやフォルテのほうが好きだったので、『エグゼ』でも炎山とブルースのほうが好きでした。ブルースかっこいい。

『ロックマンエグゼ』プレイ画面より
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