■受け継がれる勇者の系譜、父との再会も!
ゲームの終盤、主人公たちは大魔王ゾーマの城で、父・オルテガとキングヒドラとの一騎打ちを目の当たりにします。単独でアリアハンからアレフガルドに渡り、大魔王の目前まで来て強敵に敗れたオルテガ。死にゆく間際、オルテガは目の前にいるのが我が子と気づかずに伝言を託すシーンは感動的でした。
ただ、なぜかオルテガのグラフィックが敵であるカンダタの色違いで、覆面マントにビキニパンツという怪しすぎる姿だったことが妙に引っかかったのを覚えています……。
ともあれ、父の死に臆することなくかたきであるキングヒドラやゾンビとなったバラモスを打ち倒し、やがて迎えるゾーマとの最終決戦。そこで勝利してラダトームに戻ったとき、自分の歩んできた冒険こそが勇者ロトの伝説だったのだと気づき、感激しました。
クリア時の達成感という意味では、個人的には一番苦労させられた『ドラクエII』が最高だったと思います。しかし『ドラクエIII』をクリアしたときには達成感や充実感とはまた少し違う、「しっくりおさまった感覚」を覚えました。“ロトシリーズ”と呼ばれる3作品すべてを包括する作品として、これ以上ない“おさめ方”だったと個人的には思います。
『ドラクエI』でファミコンでRPGを遊ぶ楽しさを知り、『ドラクエII』でパーティプレイの面白さと厳しさを体験し、それらを経てプレイした『ドラクエIII』。一連のロトシリーズ完結までをリアルタイムで体感できたことは、30年以上たった今も忘れられない素晴らしい思い出です。
文・山口和則