現在好評放送中の、大正落語ファンタジーアニメ『うちの師匠はしっぽがない』。人間を化かしたい豆狸の女の子が上方落語に出会い、術ではなく芸で人を化かすべく、惚れ込んだ師匠の元で落語を学んでいく姿を描いた物語だ。
毎回ある上方落語のシーンはもちろん、この凸凹な師弟関係を描くドラマも本作の大きな見どころ。ドジだけど一生懸命な主人公・まめだをM・A・Oが、クールビューティーで実は情深い師匠・文狐を山村響が演じている。
「WEB声優MEN」ではこの師弟を演じる二人にそれぞれインタビュー。M・A・Oのインタビュー後編では、まめだと文狐の関係性やアフレコでのエピソードを訊いてみた。(前後編)
インタビュー前編はこちら
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“一聞き惚れ?”から始まる、まめだと文狐の師弟関係
――まめだと文狐の師弟関係も本作の軸のひとつかと思いますが、M・A・Oさんは二人の関係性をどのように捉えていらっしゃいましたか。
まめだちゃんは文狐師匠に対して、最初は「落語家って何だよ」という感じでしたね。人間に化けていたのに狸とすぐ見抜かれて、その上「帰れ」と言われて、「何なんだよ、あいつ!」と。それなのに、文狐師匠の落語に一目惚れならぬ一聞き惚れ?をして、「弟子になりたい!」とコロッと落ちてしまう(笑)。
そこからまめだちゃんは「師匠、好き! 師匠みたいな落語がやりたい!」となるわけですが、いろいろな人と話したり師弟関係を深めていく中での気付きもあって、二人の間に強い絆が育まれていきます。
――最初のうちの文狐は、弟子入りを断固拒否していたくらいですから。
まめだちゃんのまっすぐな熱意にほだされて弟子にしてからは、文狐師匠の優しさも見えてきますね。そういう関係ができていくところが丁寧に描かれていくので、自然に演じさせていただくことができました。
――文狐の優しさやかわいらしさも徐々に見えてきますよね。本作のアフレコは個別でされたのでしょうか。
ありがたいことに、山村さんとは一緒にアフレコさせていただきました。現場での山村さんは師匠のような感じで、本当に頼もしかったですね。ただ大阪弁については、私が大阪出身ということもあり「M・A・Oちゃん、ここのイントネーションってどうだっけ?」と聞いてくださることもありました。その頼ってもらえる感じが嬉しくて、まめだちゃんが「師匠のために!」と思う気持ちがわかるなと思いました(笑)。
――「師匠のお役に立てた!」と(笑)。ただ本作の舞台は大正時代ですから、現代の大阪弁とは多少違いがありそうですが。
話し言葉ではあまり違いは感じませんでしたが、上方落語になるとやはりイントネーションが違うところがありました。「言葉としては普段も使う単語でも、イントネーションが今とは違う」ということもあって、つい馴染みのあるイントネーションになりがちだったので意識していました。