中学生男子の西片は、隣の席の女子・高木さんに「からかい」勝負を挑むが、いつもあっさりと見透かされてしまう――。『からかい上手の高木さん』は、そんな他愛なく微笑ましい中学生の日々を描いた、青春コメディだ。6月10日の劇場版公開に向けて、「WEB声優MEN」では、高木さん役の高橋李依にインタビューを実施。第1回ではTVシリーズを振り返り、西片のみならず視聴者をも翻弄する少女をどのように作り上げてきたのか、その演技の裏側を訊いてみた。(全3回)
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今は高木さんが“普通の女の子”に見える
――今年1月にはTVシリーズの第3期も放送され、いよいよ劇場版となった『からかい上手の高木さん』ですが、これまでの高木さんと西片の関係を振り返ってみていかがですか。
ずっと高木さん視点と第三者視点というふたつの目線を並行して楽しんできましたが、私には高木さんが、すごく“普通の女の子”に見えるようになってきたんですよね。『からかい上手の高木さん』というタイトルではあるものの、本当に純粋に恋する女の子、等身大の女の子だなと今は思えます。もちろん今でも西片をからかいはするんですけど(笑)。
――「今は」ということは、最初の頃は違うイメージをお持ちだったんですね。
高木さんはポーカーフェイスが上手なので、西片目線で物事を追っていくと「高木さんは何を考えているんだろう?」と思うことがとても多かったんです。でも今は感情の種類が増えたというか、見せてくれる表情がたくさん増えたので、「あ、これは恋してるからこうなっちゃうんだな」とわかるようになりました。例えば第3期の「2月14日」(第11話)や「3月14日」(第12話)では、ちょっとモヤモヤした気持ちを見せてくれていましたよね。そういう“からかわない回”で気付かされることが多かった気がします。
――高木さんは同性から見ても本当にキュートな女の子ですが、「男の子をからかって翻弄している」という意味では、さじ加減を少し間違うと反感を買いかねない難しいキャラクターですよね。そんな難役を「かわいい!」と視聴者に感じさせる絶妙なさじ加減、この嫌みのないフラットなお芝居というのは、どのように作り上げていったのでしょうか。
『高木さん』のアフレコ現場には、高木さんを大好きなスタッフさんたちが常にいまして。それぞれが“高木さん像”を持っている、愛情の深いスタッフさんばかりなので、アフレコでは「高木さんだったらこっちじゃないか?」「いや、高木さんはこうだろう!」と、同じセリフでも何パターンも録るんです。これは第1期からずっとそうでした(笑)。
――熱いスタッフさんが集結されているんですね(笑)。
私の中でも「高木さんだったらこうかな?」と考えますが、皆さんの思う“高木さん像”を一度出してもらって、それを私が声に出したものを聴いてもらって……という試行錯誤を、私ひとりではなく皆さんとやっているので、それが大きいのかなと思います。