(2ページ目) バレエ演出・大谷肇インタビュー（3）フィルムと絵画の“いいとこ取り”をできるのがアニメの強み／アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』特集

後半は流鶯に注目してほしい

――インタビューの第１回で、これまでとは違う作品をやってみたいという思いから本作に参加されたとおっしゃっていましたが、現時点で大谷さんにとって『ダンス・ダンス・ダンスール』はどのような作品になりましたか。

今までは動きを描くことが割と苦手で、その分、映像を魅力的に見せるための技術は結構培ってきたつもりなんです。止め絵をカメラワークで見せたり、カット割で動きを感じさせたり。でも今回は王道中の王道というか、動きの究極みたいなことに挑戦できたので、やって良かったなと思います。そしてそれをやるには、ものすごいお金がかかるんだなということもわかりました（笑）。

――視聴者からは見えませんが、やはりものすごいビッグプロジェクトなんですね。

とにかく関わっている人が多いですし、コンピューターグラフィックスもすごく使ってますし、僕の感覚では「ここまでやるんだ！」という規模ですね。でも確かに、ここまでやらないと無理だなという作品だと思います。バレエの動きをイチからアニメーターが描いたら……そもそもできるのかな？　スタッフが求められるレベルも、それにかかる時間も、想像もつかないくらいだと思いますよ。

――放送も後半に入り、クライマックスに向けてさらに盛り上がっていますが、ぜひ視聴者の方々にメッセージをお願いします。

後半では流鶯がどんどんストーリーの重要な位置になり、彼を中心に回っていく展開になっていきます。その部分の表現は、原作を読んでいる方にもきっと驚いてもらえるんじゃないかという期待があるので、ぜひ流鶯に注目してほしいですね。

アニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』特集はこちら

【PROFILE】
大谷肇　　おおたに・はじめ
1979年9月22日生まれ、福井県出身。アニメーション監督、演出家。主な代表作として、アニメ『美少年探偵団』（監督）、アニメ『３月のライオン』（演出）、アニメ『続・終物語』（演出）など。

作品情報
TVアニメ『ダンス・ダンス・ダンスール』
毎週金曜25時25分～放送中

【あらすじ】
中学2年生の村尾潤平は、幼い頃にバレエに魅了されるも父の死をきっかけにその道を諦め、「男らしく」あろうとジークンドーに通っていた。ある日、クラスメイトの五代都にバレエへの興味を見抜かれ、一緒にやろうと誘われる。都の母親が開くバレエスタジオに出入りするようになった潤平は、かつての情熱を再燃させ、バレエを習うことになるのだが――。

潤平の前に現れたのは、バレエの英才教育を受けた孤高の天才・森流鶯。

潤平は圧倒的な実力差に打ちのめされるが、その熱量はますます高まるばかり。流鶯もまた知らず知らずのうちに潤平に触発されていく。そして、2人の前にさらなる高みを目指す者たちが現れ――。

華麗なダンスの裏で、もがき続ける少年少女たち。
青春の衝動が、今、ぶつかり合う。

【CAST】
村尾潤平：山下大輝
森流鶯：内山昂輝
五代都：本渡楓
安田海咲：天﨑滉平
田倉大和：西山宏太朗
生川夏姫：福圓美里
姫乃小路寿：井之上潤

【STAFF】
原作：ジョージ朝倉「ダンス・ダンス・ダンスール」
（小学館「週刊ビッグコミックスピリッツ」連載中）
監督：境宗久　
シリーズ構成：成田良美
キャラクターデザイン：長谷川ひとみ
総作画監督：長谷川ひとみ　小美野雅彦　黒岩裕美
副監督：清水久敏
バレエ演出：大谷肇
バレエ作画監督：桑原剛　小笠原篤
美術監督：藤野真里
撮影監督：八木まどか
CGディレクター：鷲田知子
色彩設計：田辺香奈
編集：長坂智樹
音響制作： dugout
音楽：未知瑠
振付：宝満直也
バレエ監修：阿部さや子
制作： MAPPA