■『ファザナドゥ』の「ファ」はファミコンの「ファ」?

『ファザナドゥ』は画面単位でスクロールするサイドビューのアクションRPG。主人公はジャンプと攻撃を駆使して戦います。モンスターを倒して経験値を得るとランクを上げることができますが、それで強くなるワケではなく、お店で強い装備や魔法を購入することでキャラクターが強くなっていくタイプのゲームです。

 パソコン版の『ザナドゥ』といえばシンボルエンカウント制のアクション戦闘を採用し、パズル的な謎解き要素もある広大なダンジョンを冒険するのが特長。それをそのままファミコンに移植するのは無理があったのか、ゲーム性は大幅に変更。『ファザナドゥ』はアクション色の強いRPGへと変貌を遂げていました。

 グラフィックスは『ザナドゥ』の色彩鮮やかな雰囲気と異なり、全体的に少し暗めでダークファンタジーを思わせる色合いに。キャラクターも2頭身のデフォルメタイプから、4頭身くらいのリアルなテイストに変わっていて、ますます『ザナドゥ』らしさが感じられないものでした。

『ザナドゥ』らしくない一番の要因はキャラクターのリアルな頭身にあるのかも

 しかし、フィールド上の背景グラフィック、ショップやダンジョンの入り口、街にある剣や魔法の道場(実は全然役に立たないのですが)、装備品やアイテムなどがすべて英語表記だったりと、一応『ザナドゥ』の片鱗は残されています。

 発売から30年以上がたち、当時の開発者のブログなどでは開発時のエピソードもちらほら見受けられます。それを鑑みると、いろんな事情(主に製作時間の短さやファミコンのハード面の限界)によりパソコン版『ザナドゥ』を完全再現するのが難しいなら、移植ではなくファミコンのオリジナルゲームにしてしまおう、という流れだったのかもしれません。

 そして純粋な『ザナドゥ』ではなく、タイトルが『ファザナドゥ』となったのも、そのあたりが影響したのかも……。

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