■穏やかな日常が“非日常”に浸食されていく秀逸なストーリー
本作の舞台は199X年の東京・吉祥寺。この街にある井の頭公園で起きた怪奇的な殺人事件がすべての発端となります。主人公は2人の青年とともになにげない日々を送っていますが、この殺人事件と謎の人物・STEVENから送られてきた悪魔召喚プログラムによって「悪魔」という存在と対峙していくことになります。
このストーリーを見ても分かる通り、『真・女神転生』の舞台となっているのは現代の東京。なじみのある世界だけあってプレイヤーはすんなりと物語に入りやすく、主人公にも感情移入しやすい印象を受けました。
そのせいもあって主人公の平穏な日常が、悪魔の手によって壊されていく様はとてもリアルに実感。とくに主人公の母親が悪魔に食い殺されてしまうショッキングな展開は、いまだに忘れられないほどの強烈なインパクトがありました。
その後、東京全体が崩壊、さらには水没してしまう驚きの展開があるのですが、平穏だった頃を知っているからこそ変わり果てた東京を見て衝撃を受け、崩壊後の世界で起こる出来事にも妙なリアリティを感じました。
ちなみに前作の『デジタル・デビル物語 女神転生II』は、ゲーム開始時から最終戦争で崩壊した東京が舞台。それと比べると、平和だった世界が崩壊していく過程を見せられた『真・女神転生』のほうがえたいが知れない怖さを感じた気がします。そんな不穏な雰囲気こそが『真・女神転生』の魅力なのかもしれません。