■正義と悪で割り切れない世界の理に心は揺れ動く
本作が発祥で、のちのシリーズにも受け継がれていったのが「属性」です。法と秩序を重んじる「ロウ(LAW)」、中庸の「ニュートラル(NEUTRAL)」、自由と混沌を好む「カオス(CHAOS)」、開放的で善性の「ライト(LIGHT)」、邪悪で破滅的な「ダーク(DARK)」の属性で悪魔の性質が分類されます。
この属性の組み合わせによって、会話で仲魔にできる悪魔なのか、そもそも会話すら成り立たないのかが判明。その一方で会話のできない悪魔や、ボスとして登場する悪魔も悪魔合体で作り出すことが可能で、その奥深いシステムはゲームに没頭してしまう要因でもありました。
また、主人公もゲーム中の行動によってロウ、ニュートラル、カオスの3つの属性で揺れ動きます。ロウとカオスの2陣営にどのように関わるかでストーリーが変化し、2人の青年とたもとを分かつことや、ルートによっては戦うこともありました。
そんな主人公の属性はエンディングにも影響します。ロウ、ニュートラル、カオスの3つのルートすべてをクリアしましたが、ロウとカオスの両陣営にはそれぞれの掲げる正義があり、ニュートラルも含めて「これが正解」と胸を張って答えられるものはありません。
当時は若干「モヤっ」とした印象を受けましたが、あれから年を経て世間に揉まれた今なら、善とか悪とか両極端な物事の片方だけが必ずしも正しいわけでもないし、またどちらかに偏りすぎるのも良くないことがよく分かります。それらも含めて『真・女神転生』は前衛的な物語だったのかもしれません。