■2017年のインターネットに「moon」が飛び交った
『moon』のプレゼンが放送された2017年に、ネットでは『moon』という言葉が飛び交いました。1997年に発売されたゲームがこの時代にこれだけ話題になる、というのはかなり希有な例で、そのファンたちの声は『moon』制作陣にも届きました。
そしてここからは私の推測です。木村さんのお世辞ともとれるような言葉から勝手に想像したものです。まず『moon』はヒットした作品ではありません。だからこそ面白いのに市場に出回らず、価格が高騰したのですが、その経緯もあって「リメイクしたところで売れないのではないか」という判断も大いにあったと思います。(もちろん「権利関係」や当時の制作陣が今はバラバラになってしまっているということなどの理由もあったかと思いますが)
その中で20年後、ある番組で『moon』が紹介され、ネットで大きな話題となり、今まで埋もれてきていた「リメイクしてほしい」という声が表面化してきたことで”売れる見込み”が生まれたのではないかと思うのです。
私の思い違いで木村さんは私に気を使ってあのような温かいお言葉をくださったのかもしれませんが、私のプレゼンが2019年に移植版『moon』の発売の「1つのきっかけ」になったのだとしたら、これほど光栄なことはありません。現にその言葉を聞いた際、驚きと感動の両方の気持ちで感情がわけわからなくなり、大笑いして木村さんを困らせてしまいました。