■マップデザインにも冒険心が刺激される

 話を戻しますと、ネスはブンブーンのお告げを受け、冒険に出るのですがそのマップの作りが本当によくできています。

 田舎町から隣町へ、そしてニューヨークをイメージした大都会や砂漠、高級ホテルもあるおしゃれな港町に雪国などなど、進んでいくごとに「思えば遠くへ来たものだ」と実感します。近くに落ちた隕石、そして隣人・ポーキーのノックで始まった冒険がいつしか世界の存続をかけた戦いになっていくのですが、彼らが少年少女であるがゆえにいつまでも「身近」であり続けてくれるところが本作のすごさです。

太古の恐竜が動き回る世界も

 RPGをやっていると、主人公が勇者だったり、とんでもなくイカつい装備を身にまとったりするせいで、なんだか一気に感情移入がしにくくなる瞬間があったりするのですが、本作のネスはどんなに強くなってもホームシックにかかるし、終盤の自分自身の葛藤を描く場面では、無口でありながら「ネスの自我」「アイデンティティ」というものを前面に出してくれることでいつまでも感情移入がしやすくなっているのです。

 このおかげで初めてプレイしたときに迎えたラストは本当に感動しましたし、ラストが分かっている2週目以降は道中のほんの小さな会話の端々で勝手に感動したりしていました。だからこそ既プレイの人たちは「やってみて!」「神ゲーだから!」としか言えないのかもしれません。

 もしかしたら結末を知ってしまったがゆえに、未プレイのときの感情を忘れてしまい、MOTHER2のどこをどう表現すればいいのか分からなくなっているのかもしれません。MOTHER2をプレイする前と後で、ゲームに対する考え方だけでなく、人生観のようなものも大きく変わるかもしれません。そんな唯一無二な作品が『MOTHER2』なのです。

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