■ハード性能の限界に挑んだ意欲的RPG!

 その代表的なRPGが『テイルズ オブ ファンタジア』(ナムコ・1995年12月15日発売)だろう。今となっては「めちゃくちゃ有名なタイトルじゃん!」と思うかもしれないが、このスーファミ版『テイルズ オブ ファンタジア』が発売されたのは、くしくも『ドラクエ6』発売からわずか6日後というタイミング。当時のゲームファンは320万本も売れた国民的RPGの話題で持ち切りで、ファンタジアの発売がかすんでしまったのは紛れもない事実だ。

 それでも徐々に口コミで面白さが広がり、自分のように発売後に後追いで購入するゲーム好きもいたが、ファンタジアの売り上げは約20万本。それなりに売れているように思えるが、実際にゲームを遊んだ人ならこの数字は「少なすぎる」と感じるはずだ。そのくらい『テイルズ オブ ファンタジア』のクオリティは高く、魅力にあふれたRPGだった。

 同作はご存知『テイルズ オブ』シリーズの1作目にあたり、キャラクターデザインを手がけたのは漫画家の藤島康介氏。そして驚いたのはスーファミにもかかわらずオープニングには主題歌とナレーションボイスが流れる点。ちゃんと曲にボーカルが入っていたことに衝撃を受けた。

 戦闘システムも『ドラクエ』のようなコマンド式ではなく、アクションゲームさながらのリアルタイムバトル。そのバトル時にはキャラクターたちが技名を叫ぶボイスが入るなど、カッコいいBGMも含めて臨場感に満ちあふれていた。

 もちろん『テイルズ オブ』シリーズの最初の作品ということで、ちょっと難しすぎるゲームバランスやバグの存在といった粗削りな部分はあったが、まぎれもなくスーファミ後期の名作RPGの1本に数えられるだろう。

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