■「ぼくなつ」に「ネタバレ」はない!?

 このゲームは「攻略法」がありません。もちろん謎解き要素のようなものもあるにはありますし、ベストエンディングを迎えるための方法や虫やおじさんが作ってくれるたこのコレクションのコンプリート方法なども調べればきっとあることでしょう。

 そうした「やり込み要素」もあるにはありますが、このゲームは「クリア」することが目的ではないのです。大事なのは「プレイ」して何かを感じること、これだけです。

 こうしたゲームの紹介記事を書くときにネタバレにはもちろん配慮していますが、本作に関してはもはや「ネタバレ」された上でプレイしても感動できる何かがあると私は断言できます。

 なぜなら「夏休み」は人それぞれ違って、人それぞれ本作から受け取るメッセージが違うからです。

 本作はどこを切り取っても「押しつけがましい部分」が本当にありません。それは日常がそうであるように、プレイヤーがプレイして感じる「気持ち」が答えなので、絵日記が「なんにもないすばらしい一日だった」で終わってもいいのです。

 このゲームの面白さは「結果」ではなく「過程」の中にあります。

 そこに行きつくまでに自分は何を思い、そして何を思い出し、どう行動したか。これを繰り返し積み重ねていき、最終日のエンディングでボロボロ泣いてしまうというのがこのゲームの「楽しみ方」です。

 私の文章は押しつけがましかったですが、本当にやってほしいです。子どもたちは「こんな夏休みがあるんだ」と感じてくれればいいし、大人たちは「なんだか懐かしいな」と浸ってくれたら嬉しいです。

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