■初代にして完成しきっていた演出

20年たった今、粗めのポリゴンが逆に郷愁を誘う

 田舎の牧歌的な空気と青々とした風景、夏休みならではののんびりと過ぎていく時間などなど本作の演出はPS作品の中でも群を抜いています。

 まず、ナレーションを務めたダンカンさんの声。ボクくんのかわいらしい声ではなく、低い声でボソッと話すその独特で繊細な語り口は、大人になった自分が「当時の自分」を見つめながら話しているようで、プレイヤーの「懐かしい」を引き出す役割を担っているように思います。

 このナレーションにいきなりダンカンさんを抜擢したところに制作陣のこだわりを感じますし、結果として大正解だったと思います。未プレイの方はぜひ聞いてみてほしいです。

 熱狂的阪神ファンである芸人・ダンカンさんの一面しか知らない方はギャップに驚くかもしれません。

 そして、主題歌『この広い野原いっぱい』のベストマッチぶりも忘れてはいけません。

 これは1967年に発表された同楽曲を大藤史さんがカバーしたものなのですが、もうこのゲームのために作られた曲なのでは!? と思うほど世界観に合致しています。この楽曲ありきでゲーム制作が始まったのではないかとすら思うほどです。

 この曲を聴くだけで目の前に青い空と緑々しい光景が浮かんできますので、少し気分が落ち込んだときは目を閉じてこの曲を聴きながら深呼吸をしましょう。なんだか落ち着きますよ。

 ゲーム内時間の経過速度は設定で変更できますが、このゲームの世界観を味わうためにもぜひ「のんびり」でプレイしてみてほしいです。

 忙しい毎日の中でも「毎日1日分プレイしていく」という目標と終わりどきを決められるので、「のんびり」でもだれることなくゲームをプレイできます。ふだんゲームをプレイしない方やプレイスキルに自信がない方には特におすすめです。

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