■攻略本ライターのギャラ事情
当時、攻略本に携わるライターは、ヘタな作家よりも稼いでいたと言われています。実際に本業は作家でありながら、攻略本ライターを務めるという例も見受けられました。自分が編集プロダクションにいたときに担当していた攻略本ライターの1冊(80ページ程度)のギャラは、どんな無名なゲームだとしても大体40万から60万円程度。もちろん担当するページ数が増えたり、難解なゲームタイトルの場合はさらにプラスされます。この額は、それぞれの編集プロダクションによって差はあるかと思いますが、特別多かったワケではないはず。
その制作期間は3週間から長くて1か月半程度。つまり1本の攻略本に携われば同年代のサラリーマンの月収並みか、それ以上稼ぐことができました。そして執筆スピードの速いライターはとくに重宝され、月に数本ものゲームをかけもちしながらこなす人も珍しくなく、なかには年収4桁万円超えの攻略本ライターもいたほどです。
作業内容としては、スーパーファミコンの時代あたりまでは1人のライターが“ゲーム攻略”“原稿執筆”“ゲーム画面撮影”までを兼ねる、いわゆるワンオペ体制が主流。プレステあたりになると、ゲームが複雑化してくるのと同時に、攻略要素+設定資料的な価値を求める需要が急増。そのために作業の分業化が進み、1冊にかける人員も必然的に増えていきました。それでも攻略本が売れる時代だったので、十分に成り立っていたのです。
また、編集プロダクションを介さず、出版社から直接仕事の依頼を受ける場合には、印税契約を結ぶケースも! 実際うちのエースは大手出版社に引き抜かれ、そこである格闘ゲームの攻略本を印税契約で担当したのですが、これが大ヒット。それが先述のラスベガス旅行のエピソードにつながるワケです。