■ドラクエ以前のファンタジー事情

 ただし、ファンタジーものが存在しなかったのかというとそんなことはなく、ロバート・E・ハワードの英雄コナンシリーズ(1932年!)が古典として存在。日本では栗本薫による『グイン・サーガ』シリーズが、ドラクエ発売当時はすでに24巻(1986年5月31日発行『赤い街道の盗賊』)を数えておりました。

 パソコン用ゲームでは本格的なファンタジーRPG『ザ・ブラックオニキス』が1984年にリリースされていましたし、Apple IIで『ウィザードリィ』を遊んでいたマニアもいたかもしれません。

 もちろんテーブルトークRPG(ボードゲームですね)の『ダンジョンズ&ドラゴンズ』は存在していて、ガンプラブームでプラモデル雑誌『ホビージャパン』を手にとった子どもたちは、その広告ページに刺激的な格好をしたバタ臭い女性の、ボードゲーム用メタルフィギュアが掲載されているのを見てドキドキしたものです。

 また、アニメでは『聖戦士ダンバイン』(1983年)、『機甲界ガリアン』(1984年)など、ファンタジー世界を扱った作品も登場していました。

 さらに、子どもたちの世界では、ゲームブックの存在も忘れてはいけませんね。ご存知ですか? ゲームブック。社会思想社から出版された『火吹き山の魔法使い』が有名ですが、「本で遊ぶロールプレイングゲーム」とでもいいますか、文章に選択肢が書いてあって、選んだページに飛ぶよう指示されるんです。バッドエンドもあれば、戦闘もあって、サイコロを振って判定したりする。ガシャポンのカプセルにサイコロを入れて持ち歩いている人もいましたね。これは明らかに“剣と魔法の世界”モノでした。調べてみると『火吹山』は1984年刊行とのことですから、ドラクエ発売の2年も前だったんですね。

ここから、日本のファンタジー史の新たな1ページが開いたと言えましょう
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